東京都美術館で開催中の特別展・マウリッツハイス美術館展を見に行って来ました。
どうも、物が充足している昨今の日本の、とりわけ可処分所得が高いおじさん・おばさんは、その消費を「もの」よりむしろ「こと」に、つまり旅行や文化活動に振り向ける傾向があるのか、最近の美術館は、そんなおじさん・おばさんたちでいつも混雑しているように思います。そこで、おじさん・おばさんに占拠される前に(なんて他人事のように言ってはいけない年齢ですが)潜り込もうと、9時半開室の30分近く前に、並ぶ覚悟で出向いたところ、既に順次開室してくれていて、比較的スムーズに入室することが出来ました。東京都は、石原さん都政で顧客満足度が高くなっているように感じるのはただの気のせいでしょうか。ちょっと嬉しい誤算でした。
前置きはこのくらいにして・・・今回の特別展は、「『王立絵画館』」の名で世界的に知られる、オランダ・マウリッツハウス美術館のコレクションの数々」(東京都美術館HP)で、同美術館は、「西洋美術史に大きな影響を及ぼした17世紀オランダ・フランドル絵画の世界的コレクションで知られています」(特別展のチラシ)。今回は、「2012年に同館が改修工事で一時閉館するのに伴い、名品約50点を選りすぐった展覧会が実現」(同チラシ)したものです。中でも、世界に三十数点しかないとされるフェルメールの作品二点(同美術館所蔵三点の内)や、レンブラントの最晩年の自画像をはじめとする6点は、壮観です。
公式のステートメントはともかくとして、先ず感じたのは、これら絵画史上の画期が、まさにオランダ国家としての興隆(17世紀半から後半)と一致するところであり、勃興する市民階級が様々な絵画を所望したと説明されるように、文化は権力をはじめとする経済的豊かさに付随するという現実でした。また、今回の目玉であるフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(「青いターバンの少女」、「ターバンを巻いた少女」とも呼ばれます)は、色の組み合わせはシンプルで落ち着きがあり、ターバンに使われるラピスラズリ(瑠璃)から作られた高価な絵の具の青(天然ウルトラマリン、所謂フェルメール・ブルー)を効果的に際立たるものの、技術的には必ずしも秀でているようには見えません。しかし、肩越しに見つめる憂いをたたえた瞳と半開きの唇の、微笑んでいるような、あるいは何かもの言いたげな、雰囲気のある表情が魅惑的であり、作品をして「北のモナ・リザ」「オランダのモナ・リザ」など「モナ・リザ」に譬えられるのが納得出来るほどの強い印象を与えます。これまで何度か修復され、とりわけ1994年から96年にかけて、入念かつ徹底的に実施され、結果として、絵はフェルメールによって描かれた当時の状況に非常に近いものとなっている(Wikipedia)のだそうで、見応えがあります。更に、「光と影の魔術師」「明暗の巨匠」レンブラントの深みのある画面構成に、あらためて感銘を受けましたし、「フランダースの犬」の主人公ネロの最期の場面に登場した、母と重ね合わせたと言われる聖母像が描かれたルーベンスの壁画(アントワープ大聖堂「聖母被昇天」)の下絵も、違った意味で印象的でした。
一つ、仕方ないことではありますが・・・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」は一番人気のため、上野動物園のパンダよろしく、立ち止まらないように歩きながら鑑賞させられるのが、物足りないところではあります(後方でじっくり鑑賞する黒山の人だかりがあるのも、パンダと同じです)。これも含め、全てにわたって、皆さん音声案内を聞きながらじっくり立ち止まって鑑賞する一方、短気な私は、離れたところから、ものの30分強で見終わってしまいました。勿体ないので、二巡目は、気に入った作品だけを見て回り、三巡目は、出口手前にある、この特別展のオフィシャル・サポーターとして「真珠の耳飾りの少女」に扮した、特別協賛の第一生命のイメージガール・武井咲さんのポスターを、もう一度見るためだけのために回りました(上の写真)。なかなか良い表情をしています。
6月30日から二ヶ月半にわたって繰り広げられた特別展は、この三連休が最後です。国立西洋美術館でもベルリン美術館展が開催され、フェルメールの「真珠の首飾りの少女」が展示されています。私には比較できませんが、こちらのマウリッツハイス美術館展は間違いなくお勧めです。
どうも、物が充足している昨今の日本の、とりわけ可処分所得が高いおじさん・おばさんは、その消費を「もの」よりむしろ「こと」に、つまり旅行や文化活動に振り向ける傾向があるのか、最近の美術館は、そんなおじさん・おばさんたちでいつも混雑しているように思います。そこで、おじさん・おばさんに占拠される前に(なんて他人事のように言ってはいけない年齢ですが)潜り込もうと、9時半開室の30分近く前に、並ぶ覚悟で出向いたところ、既に順次開室してくれていて、比較的スムーズに入室することが出来ました。東京都は、石原さん都政で顧客満足度が高くなっているように感じるのはただの気のせいでしょうか。ちょっと嬉しい誤算でした。
前置きはこのくらいにして・・・今回の特別展は、「『王立絵画館』」の名で世界的に知られる、オランダ・マウリッツハウス美術館のコレクションの数々」(東京都美術館HP)で、同美術館は、「西洋美術史に大きな影響を及ぼした17世紀オランダ・フランドル絵画の世界的コレクションで知られています」(特別展のチラシ)。今回は、「2012年に同館が改修工事で一時閉館するのに伴い、名品約50点を選りすぐった展覧会が実現」(同チラシ)したものです。中でも、世界に三十数点しかないとされるフェルメールの作品二点(同美術館所蔵三点の内)や、レンブラントの最晩年の自画像をはじめとする6点は、壮観です。
公式のステートメントはともかくとして、先ず感じたのは、これら絵画史上の画期が、まさにオランダ国家としての興隆(17世紀半から後半)と一致するところであり、勃興する市民階級が様々な絵画を所望したと説明されるように、文化は権力をはじめとする経済的豊かさに付随するという現実でした。また、今回の目玉であるフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(「青いターバンの少女」、「ターバンを巻いた少女」とも呼ばれます)は、色の組み合わせはシンプルで落ち着きがあり、ターバンに使われるラピスラズリ(瑠璃)から作られた高価な絵の具の青(天然ウルトラマリン、所謂フェルメール・ブルー)を効果的に際立たるものの、技術的には必ずしも秀でているようには見えません。しかし、肩越しに見つめる憂いをたたえた瞳と半開きの唇の、微笑んでいるような、あるいは何かもの言いたげな、雰囲気のある表情が魅惑的であり、作品をして「北のモナ・リザ」「オランダのモナ・リザ」など「モナ・リザ」に譬えられるのが納得出来るほどの強い印象を与えます。これまで何度か修復され、とりわけ1994年から96年にかけて、入念かつ徹底的に実施され、結果として、絵はフェルメールによって描かれた当時の状況に非常に近いものとなっている(Wikipedia)のだそうで、見応えがあります。更に、「光と影の魔術師」「明暗の巨匠」レンブラントの深みのある画面構成に、あらためて感銘を受けましたし、「フランダースの犬」の主人公ネロの最期の場面に登場した、母と重ね合わせたと言われる聖母像が描かれたルーベンスの壁画(アントワープ大聖堂「聖母被昇天」)の下絵も、違った意味で印象的でした。
一つ、仕方ないことではありますが・・・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」は一番人気のため、上野動物園のパンダよろしく、立ち止まらないように歩きながら鑑賞させられるのが、物足りないところではあります(後方でじっくり鑑賞する黒山の人だかりがあるのも、パンダと同じです)。これも含め、全てにわたって、皆さん音声案内を聞きながらじっくり立ち止まって鑑賞する一方、短気な私は、離れたところから、ものの30分強で見終わってしまいました。勿体ないので、二巡目は、気に入った作品だけを見て回り、三巡目は、出口手前にある、この特別展のオフィシャル・サポーターとして「真珠の耳飾りの少女」に扮した、特別協賛の第一生命のイメージガール・武井咲さんのポスターを、もう一度見るためだけのために回りました(上の写真)。なかなか良い表情をしています。
6月30日から二ヶ月半にわたって繰り広げられた特別展は、この三連休が最後です。国立西洋美術館でもベルリン美術館展が開催され、フェルメールの「真珠の首飾りの少女」が展示されています。私には比較できませんが、こちらのマウリッツハイス美術館展は間違いなくお勧めです。
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