風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ロマンス

2015-09-28 00:44:08 | たまに文学・歴史・芸術も
 久しぶりに映画館で映画を観た。一人ぶらっと映画館、というのは生まれて初めてだったので、ちょっと緊張した。
 映画と言えば、中2の頃から目覚め、なけなしの小遣いで「スクリーン」という月刊誌を購入し、中3の頃からはテレビで年間50本以上観るようになった(受験生のときも)。そのため、1960~70年代の映画にはやたら詳しく、当時はハリウッドと言うよりも、アニュイなフランス映画やマカロニ・ウェスタンなる呼び名のイタリア西部劇もよく観たものだった。最近は海外出張の機内で観るのが相場なのだが、知人に無料招待券を貰ったのが、タナダユキ監督、元AKB48大島優子主演の映画「ロマンス」、岩崎宏美の唄ではない(ちょっと古い)。新宿・武蔵野館という繁華街のビルの3Fにある狭い映画館に行ったら、いつもの機内のイヤホンと違って、映画館の音響の良さには、あらためて、ちょっと感動した。
 映画の方は、映画.comの解説によると、こうなる。「新宿・箱根間を結ぶロマンスカーで、車内販売を担当しているアテンダントの北條鉢子。仕事の成績も常にトップで、今日もつつがなく業務をこなすつもりだったある日、鉢子は怪しい映画プロデューサーの桜庭と出会う。ふとしたきっかけで桜庭に母親からの手紙を読まれてしまった鉢子は、桜庭に背中を押され、何年も会っていない母親を探すため箱根の景勝地を巡る小さな旅に出ることになる。」
 主演の大島優子は、仕事が出来る小田急ロマンスカーのアテンダント役なのだが、役柄、屈折した想いを抱えていて、あれれこんなにブサイクだったっけ?(失礼!)と目を疑った。国民的アイドル・グループのセンターをつとめたのが俄かに信じられないほど、冴えないのである(別にAKB48のファンではない)。箱根の景勝地も、そんな心象風景を映し出すかのように天候が悪い。ところが、そんな「母親探し」の旅は実は「自分探し」の旅であり、いつしか不機嫌な中にも徐々に明るい表情を見せるようになり、最後には最高の笑顔を見せてくれる・・・彼女の演技もなかなか、である。また共演の不審なオッサン役・大倉孝二の、如何にも怪しげだが飄々としたところもいい。彼もまた冥途への旅?が、生きていればいいことあるさ♪という旅になりそうな余韻を残してくれる。
 というわけで、なかなか味わい深い小品に仕上がっている。オリジナル脚本で監督のタナダユキさんもまた、なかなか、である。水野晴郎さんじゃないけど、いやぁ映画って本当にいいもんですねぇ・・・たまには映画館で映画を、と思い出させてくれる映画だった。
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