今回の爆破テロ事件の犠牲者は、死亡3人、負傷者は180人にのぼるそうです。死亡した3人は、8歳の男の子と、29歳のアメリカ人女性と、23歳の中国人女子留学生で、特に最後の中国人女性は、友人と一緒にボストン・マラソンを見に出かける前に、朝食に取ったフルーツ・サラダの写真を、中国のソーシャルメディア「微博」でシェアし、「私の素敵な朝食!」とコメントしていたのが話題になりました。写真に写る彼女は、可愛らしく、利発そうな顔立ちで、その日の悲劇は知る由もなく、痛々しい。
ネットの掲示板には、哀悼の辞や、テロへの怒りや恐怖が殺到したようですが、どうやらそれだけにとどまらなかったようでした。ネット上では、早い段階から、犠牲者の氏名・出身地・出身校や父親の名前まで明らかになっていたにも関わらず、中国当局は「遺族の要望」だとして、犠牲者の氏名・年齢・職業などの情報を公表しなかったため、所謂「裸官」の関連ではないかと疑われたのです。
「裸官」とは、東方書店のサイトによると、「『裸体官員』の略で、配偶者や子女が仕事以外の理由で海外で暮らす、あるいは外国国籍や永住権を取得している中国政府の公務員のこと。汚職の温床とされる」とあります。まさに公務員の腐敗を象徴する言葉です。中国では、子女の海外留学は、政府高官や官僚や富裕層の「特権」と受け止められており、欧米に移住した家族が贅沢な暮らしをしているとの批判が出ており、共産党指導部はこの点に関して極めて敏感になっています。つまり彼女の場合も、彼女には罪はないのですが、「どうして公開しようとしないのか」「彼女の父親は中国の官僚だろう」と疑われているわけです。
宮崎正弘さんの「現代中国『国盗り物語』」によると、「汚職で摘発された公務員は1988年には僅か190名、それが90年には1118名、95年には2285名となり、今では2万名を超えるが、中国共産党の大物はまれにしか起訴されず、やりたい放題なのが実態」なのだそうです。そして「汚職事件の平均金額も、84年には僅か4000元だったが、98年には14万元となり、2005年には27万3千元(約382万円)」、「汚職で得たカネは、一度香港へ送られ、国際金融市場でマネーロンダリングされてから英領バージン諸島の怪しげな投資会社へ流れ、米国などでヘッジファンドに化けて、大部分は『外国人投資家』を装って中国の不動産投資に還流してくる」とされ、汚職金額の平均こそ上に述べた通りですが、上層部になると桁が違って、目を疑います。「2011年2月に発覚した劉志軍(前鉄道部長)の汚職額は20億元(約280億円)とも言われたし、薄煕来は80億元(約1120億円)」だったと言われます。中国社会科学院の調査として、90年代中期以降海外に逃亡した党、政府幹部、公安、司法幹部や国家事業単位、国有企業の幹部などで海外逃亡、失踪した人数は1万8000人、持ち出した金額は8000億元(約10兆円)に達した、との報道もあります。
折しも、中国では四川で地震が発生し、最新の報道によると、死者192人、行方不明者23人、負傷者1万1470人、被災者219万人以上と、数字は膨れ上がる一方です。興味深いのは、19日の地震発生直後に専用機で現地に入った李克強首相が、国営メディアを通じて、人命救助に全力を挙げるよう細かい指示を出す様子をアピールしているのは、前回の2008年の四川大地震における温家宝首相と似ていますが、地震発生直後から、日本など海外からの援助の申し出が相次いでいるにも関わらず、中国外務省は、謝意を表したうえで「物資は足りている。現時点で援助は不要」と、断っているというのです。実際に被災地では、地震発生から時間が経過するにつれ、水やテントが足りないなど、苛立ちが募っていると言われますので、現地の交通が寸断され、政府の支援活動に支障を来すという実際的な理由を挙げる声は、甚だ疑問です。むしろ「共産党や中国政府が助けた」という形にこだわるメンツが見え隠れする、と報じられているのが真相に近いのではないでしょうか。私の下衆の勘繰りでは、訓練され統率が取れた日本の自衛隊が活躍すると、人民解放軍の立場がないと警戒しているのではないかと。なにしろ週末に見た報道番組では、人民解放軍の人たちが、なんと素手で瓦礫撤去作業を行う映像が流れていました。
さて、前回の四川大地震では9万人もの死者・行方不明者が出たとされ、日本では小学校が避難場所になるのに、四川では手抜き工事のために悉く倒壊し、子供たちの犠牲者が増えたと非難されたものでしたが、ここで言う手抜き工事とは、ただの手抜き、ただの怠慢かと思っていたら、さにあらず、それは私のただの勘違いで、実は、賄賂によってカネが抜き取られて十分な資材購入が出来なかったためという解説を聞いて、あらためて中国における汚職の凄まじさを思い知りました。
ここでも中国は崩壊の危機に直面していることが知られます。それを裏付けるかのように、15日(と言いますから呼応しているわけではありませんが)、ネットで奇妙な動きがありました。人民日報系の雑誌「人民論壇」がインターネット上で実施した共産党に対する意識調査で、回答者の約80%が共産党の一党独裁や主張、改革に対して否定的な回答をしたという調査結果が15日に同誌のサイトに掲載され、間もなく削除されたそうです(Web産経4月15日)。当局の統制も乱れつつあるようです。
ネットの掲示板には、哀悼の辞や、テロへの怒りや恐怖が殺到したようですが、どうやらそれだけにとどまらなかったようでした。ネット上では、早い段階から、犠牲者の氏名・出身地・出身校や父親の名前まで明らかになっていたにも関わらず、中国当局は「遺族の要望」だとして、犠牲者の氏名・年齢・職業などの情報を公表しなかったため、所謂「裸官」の関連ではないかと疑われたのです。
「裸官」とは、東方書店のサイトによると、「『裸体官員』の略で、配偶者や子女が仕事以外の理由で海外で暮らす、あるいは外国国籍や永住権を取得している中国政府の公務員のこと。汚職の温床とされる」とあります。まさに公務員の腐敗を象徴する言葉です。中国では、子女の海外留学は、政府高官や官僚や富裕層の「特権」と受け止められており、欧米に移住した家族が贅沢な暮らしをしているとの批判が出ており、共産党指導部はこの点に関して極めて敏感になっています。つまり彼女の場合も、彼女には罪はないのですが、「どうして公開しようとしないのか」「彼女の父親は中国の官僚だろう」と疑われているわけです。
宮崎正弘さんの「現代中国『国盗り物語』」によると、「汚職で摘発された公務員は1988年には僅か190名、それが90年には1118名、95年には2285名となり、今では2万名を超えるが、中国共産党の大物はまれにしか起訴されず、やりたい放題なのが実態」なのだそうです。そして「汚職事件の平均金額も、84年には僅か4000元だったが、98年には14万元となり、2005年には27万3千元(約382万円)」、「汚職で得たカネは、一度香港へ送られ、国際金融市場でマネーロンダリングされてから英領バージン諸島の怪しげな投資会社へ流れ、米国などでヘッジファンドに化けて、大部分は『外国人投資家』を装って中国の不動産投資に還流してくる」とされ、汚職金額の平均こそ上に述べた通りですが、上層部になると桁が違って、目を疑います。「2011年2月に発覚した劉志軍(前鉄道部長)の汚職額は20億元(約280億円)とも言われたし、薄煕来は80億元(約1120億円)」だったと言われます。中国社会科学院の調査として、90年代中期以降海外に逃亡した党、政府幹部、公安、司法幹部や国家事業単位、国有企業の幹部などで海外逃亡、失踪した人数は1万8000人、持ち出した金額は8000億元(約10兆円)に達した、との報道もあります。
折しも、中国では四川で地震が発生し、最新の報道によると、死者192人、行方不明者23人、負傷者1万1470人、被災者219万人以上と、数字は膨れ上がる一方です。興味深いのは、19日の地震発生直後に専用機で現地に入った李克強首相が、国営メディアを通じて、人命救助に全力を挙げるよう細かい指示を出す様子をアピールしているのは、前回の2008年の四川大地震における温家宝首相と似ていますが、地震発生直後から、日本など海外からの援助の申し出が相次いでいるにも関わらず、中国外務省は、謝意を表したうえで「物資は足りている。現時点で援助は不要」と、断っているというのです。実際に被災地では、地震発生から時間が経過するにつれ、水やテントが足りないなど、苛立ちが募っていると言われますので、現地の交通が寸断され、政府の支援活動に支障を来すという実際的な理由を挙げる声は、甚だ疑問です。むしろ「共産党や中国政府が助けた」という形にこだわるメンツが見え隠れする、と報じられているのが真相に近いのではないでしょうか。私の下衆の勘繰りでは、訓練され統率が取れた日本の自衛隊が活躍すると、人民解放軍の立場がないと警戒しているのではないかと。なにしろ週末に見た報道番組では、人民解放軍の人たちが、なんと素手で瓦礫撤去作業を行う映像が流れていました。
さて、前回の四川大地震では9万人もの死者・行方不明者が出たとされ、日本では小学校が避難場所になるのに、四川では手抜き工事のために悉く倒壊し、子供たちの犠牲者が増えたと非難されたものでしたが、ここで言う手抜き工事とは、ただの手抜き、ただの怠慢かと思っていたら、さにあらず、それは私のただの勘違いで、実は、賄賂によってカネが抜き取られて十分な資材購入が出来なかったためという解説を聞いて、あらためて中国における汚職の凄まじさを思い知りました。
ここでも中国は崩壊の危機に直面していることが知られます。それを裏付けるかのように、15日(と言いますから呼応しているわけではありませんが)、ネットで奇妙な動きがありました。人民日報系の雑誌「人民論壇」がインターネット上で実施した共産党に対する意識調査で、回答者の約80%が共産党の一党独裁や主張、改革に対して否定的な回答をしたという調査結果が15日に同誌のサイトに掲載され、間もなく削除されたそうです(Web産経4月15日)。当局の統制も乱れつつあるようです。
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