風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

朝青龍引退

2010-02-05 00:30:21 | スポーツ・芸能好き
 引退を予告する報道には半信半疑でしたが、いざそれが現実となると、文字通りのmixed feelings、ちょっと残念ではあります。
 相撲は格闘技ではなく伝統芸能だという話は、既に別のブログに書いたので繰り返しません(http://blog.goo.ne.jp/sydneywind/d/20090203)。私のポイントは、要は、プロレスと違ってショー・ビジネスではないので、ヒールは要らない、横綱の品格は、モンゴル人にも分かるように理解させるべき親方や角界の責任だろう、ということでした。もっとも朝青龍が人の言うことを素直に聞くほどのヤワではないことは、百も承知です。そういう意味で、今回は、角界が朝青龍を寄り切って、面目を保ったというところでしょう。
 それにしても、横綱としての品格に欠けた横綱でした。遊牧民族国家モンゴルでは、荒々しい強さにこそ価値があり、白鵬関では大人し過ぎて物足りないということも、別のブログで触れました。しかし子供がそのまま大人になったような“やんちゃさ”があって、帰国して以来、彼の素顔を垣間見させるテレビ番組をちょいちょい見るようになると、ちょっと憎めないキャラだなと思い始めておりました。
 今朝の日経新聞「私の履歴書」で、野球少年で、東京の高校から推薦入学の誘いもあった青木功さんが、ある試合で投じた一球がホームスチールを許したばかりに敗戦投手となり、自棄をおこして野球から離れてしまったエピソードを紹介し、「やっぱり、おまえは野球に向いていないよ」と野球の神様がああいう展開にしたのだと語っていました。相撲の神様がいるとすれば、朝青龍に、「やっぱり、おまえは日本の大相撲に向いていないよ」とソッポを向いたのでしょう。貴乃花親方の理事就任と同時期というのが、時代の変化を感じさせます。
 もとよりスポーツマンとしての彼の並外れた身体能力や闘争心や負けん気の強さは、誰しも認めるところです。このあたりの事情は、このたび横審委員を辞めた、あの内館牧子さんの言葉に譲りたいと思います。脚本家としての内館さんのことは名前でしか知りませんが、横審委員としての内館さんの発言には全く異論なく、その内館さんをして、スポーツマンとしての彼は150%尊敬できると言わしめました。以って瞑すべし。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雪のおもいで

2010-02-03 02:33:32 | 日々の生活
 雪は昨晩未明には止んだので、今朝の通勤・通学にはほとんど影響がありませんでしたが、一日経った今も、日陰や路肩や駐車場の隅と言わず、車のフロント・ガラス、更には畑一面にも雪がまだ残っています。今日は、ノスタルジックに雪の思い出の問わず語りです。
 私はつい一年半前まで常夏のマレーシア・ペナンに住んでいましたが、15年前から4年間は、雪国に住んでいました。アメリカ・ボストンのことを雪国と言えば、北海道の人には笑われそうですが、そこは私にとっては紛れもない雪国でした。と言うのも、毎年、感謝祭の頃から翌年の4月頃まで周囲はすっかり雪に覆われますし、ドカ雪に襲われると途端に交通がマヒする首都圏と違って、ボストンでは、仮にドカ雪でも夜間に降る限りは、早朝の間にすっかり雪掻きされて、普通に生活出来るだけのインフラが整っているからです。問題は、雪掻きとともに道路に大量の塩が撒かれることで、マフラーが錆びやすく、2~3年に一回はマフラーに穴が開くかマフラーが落っこちて、突然、暴走族のように爆音を轟かせることになって驚かされます。そのため、街中には至るところにマフラー屋(首に巻くマフラーではなく、消音器、英語でPipeと言います)があり、手軽にマフラー交換できます。
 そんな雪国でも、昼間にSnow Stormに襲われると、雪掻きが追いつかないため、オフィスや学校は早々に閉鎖に追い込まれ、早退することを勧められます。そんな日でもお構いなしに働き者の日本人が遅れて帰る頃には、自分の車がポツリと一台だけ、だだっ広い駐車場に、すっぽり雪に埋もれて取り残されていて、一人寂しく雪掻きするハメになります。酷い時には鍵穴が凍ってキーを差し込めないこともあります。ハンドルは冷たくて素手では握れません。エンジンをかけたままロック・アウトしてしまう不注意もたまに犯してしまいます。ようやく走り始めても、道路には厚い雪が覆いかぶさり、スパイク・タイヤやスタッドレス・タイヤではなく普通のタイヤで、鎖を巻く習慣もありませんから、いくら人通りはないとは言え、時折、ハンドルを取られて雪山に突っ込みながら、恐る恐る運転することにならざるを得ません。そんな日に高速道路を走る場合、更に細心の注意が必要です。高速で走っていて雪山に突っ込んで、一晩見つけられないで凍死する事故が毎年のように起こるからです。そのため、私は車のトランクに毛布と大きめのロウソクを常備していました。
 公道は雪掻きされますが、一軒家の場合は、駐車場から公道までの雪掻きを自分で(あるいは自分が業者に依頼して)行なわなければなりません。私が住んでいたようなタウンハウスやアパートの場合は、駐車場の自分のスペース以外は雪掻きしてくれるので楽チンですが、それでも油断は出来ません。週末、朝寝坊して、車を駐車場から出しておくのをうっかり忘れると、周囲は雪掻きされてキレイになっているのに、自分の車だけ雪に埋もれて取り残されるという事態になりかねないからです。雪掻き用のスコップや、フロントガラスの雪を払う大型ブラシは必携です。
そんなこんなで雪国の車社会は何かと不自由ではありますが、雪にすっぽりと覆われた白銀の世界は、喧騒を吸収して、独特の静けさがあります。冬が長い分、緑が芽吹く春の訪れの喜びはひとしおです。ボストンで生まれた上の子供との穏やかな日々の記憶と相俟って、雪国ボストンでの生活は、今なお懐かしく思い出されます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする