福井新聞の報道によると、・・・・・・・
福井大は17日、世界トップレベルの原子力研究開発拠点を目標とする附属国際原子力工学研究所を、4月に同大文京キャンパスに開設すると発表した。同研究所は、福井県のエネルギー研究開発拠点化計画の一環。北陸、関西、中京圏の大学との広域連携拠点として、設立に向けた検討を進めてきた。同日の同大役員会で正式に開設が承認された。
▽カリキュラムなどを構築する原子力工学基礎▽原子力工学研究開発▽放射線の医学利用を研究する医学物理・化学▽耐震、防災技術を研究する原子力防災工学―の4分野で構成。特に高速増殖炉「もんじゅ」を生かした研究を中心に据える。・・・・という。
★
わたしは、昨年8月の金沢市でひらかれた科学者会議の集会でつぎのように報告した。・・・
「エネルギー研究開発拠点化計画」について。
この計画は2005年3月に打ち出され、7月に敦賀市にある若狭湾エネルギー研究センターに「エネルギー研究開発拠点化推進組織」を設立。11名が死傷した美浜原発事故後も、関電社長や取締役など幹部も参加して策定したもの。考え方――「原発は電力を製造する向上だが、電気を起こして関西におくるだけでは福井県経済にメリットがない、ということで地域振興の仕組みの構築をはかったもの」。福井県が今後ともさらに数十年単位で原子力事業者、関係政府機関と密着する仕組みづくりといえる。 内容としては、①県立病院と併設して、陽子線ガン治療を中心としたガンの研究治療施設建設、②教育。大学との連携はもちろん、小学校、中学校、高校で徹底したエネルギー教育、③高速増殖炉研究開発センター、原子炉廃止措置研究センタ―設置、④産業創出。
エネルギー研究開発拠点化推進の問題点はどこにあるか。この方向は、すでに原発偏重で歪んでいる地域経済をさらに歪めることになりかねない。また、原発の危険を後景に追いやることにつながる。
たとえば、小学生の時から「原発見学やエネルギー・原子力」教育を強化し、原子力に違和感ない県民の育成がされる。これは原発の危険を見抜く主権者づくりを阻害する。さらに、産官学一体での原発推進体制の強化。たとえば、福井大学、福井工業大学ではあたらしい専門をつくって原発企業から講師を招いている。大学教員が県の原発関係委員会の委員になる。研究費の支援など「抱き込み」がすすんでいる。この背景には大学の「独立行政法人化と運営費交付金の削減」、そのなかでの「研究資金獲得の緊急性」などの要因もあるだろう。
最近では、今年2月にはフランスの原子力教育機関や高速増殖炉「Phenix」、MOX燃料工場「MELOX」などを学生7名と教員3名が研修し、教育機関で原子炉物理の講義を受けるとともに、PWRの運転シュミレーターなどを体験している。また、今年度から3年間、文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業」に採択され、福井大学、福井県立大学、福井工業大学も参加し、「環境・エネルギー関連分野の次世代産業クラスターの形成」をめざすとされている。このような方向の加速は、原発立地県での批判的な研究が阻害されていく恐れがある、と私は懸念している。
★
30年、50年後に原子力発電が日本や世界の中軸をになう情勢にはならないだろう。やはり将来に負荷の少ない、環境重視、地域分散、世界の持続可能性を重視した方向を人類は選択していくのではないか。
日本は予算の上でも「原子力偏重」がつづいているが、これもそう遠くない将来に見直されなくてはならない。地震列島日本での原発の過密化・巨大化への警告はすでに発せられているのだから。地元大学だからこそそういう長期的視点での研究をおこなってほしいと思う。
福井大は17日、世界トップレベルの原子力研究開発拠点を目標とする附属国際原子力工学研究所を、4月に同大文京キャンパスに開設すると発表した。同研究所は、福井県のエネルギー研究開発拠点化計画の一環。北陸、関西、中京圏の大学との広域連携拠点として、設立に向けた検討を進めてきた。同日の同大役員会で正式に開設が承認された。
▽カリキュラムなどを構築する原子力工学基礎▽原子力工学研究開発▽放射線の医学利用を研究する医学物理・化学▽耐震、防災技術を研究する原子力防災工学―の4分野で構成。特に高速増殖炉「もんじゅ」を生かした研究を中心に据える。・・・・という。
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わたしは、昨年8月の金沢市でひらかれた科学者会議の集会でつぎのように報告した。・・・
「エネルギー研究開発拠点化計画」について。
この計画は2005年3月に打ち出され、7月に敦賀市にある若狭湾エネルギー研究センターに「エネルギー研究開発拠点化推進組織」を設立。11名が死傷した美浜原発事故後も、関電社長や取締役など幹部も参加して策定したもの。考え方――「原発は電力を製造する向上だが、電気を起こして関西におくるだけでは福井県経済にメリットがない、ということで地域振興の仕組みの構築をはかったもの」。福井県が今後ともさらに数十年単位で原子力事業者、関係政府機関と密着する仕組みづくりといえる。 内容としては、①県立病院と併設して、陽子線ガン治療を中心としたガンの研究治療施設建設、②教育。大学との連携はもちろん、小学校、中学校、高校で徹底したエネルギー教育、③高速増殖炉研究開発センター、原子炉廃止措置研究センタ―設置、④産業創出。
エネルギー研究開発拠点化推進の問題点はどこにあるか。この方向は、すでに原発偏重で歪んでいる地域経済をさらに歪めることになりかねない。また、原発の危険を後景に追いやることにつながる。
たとえば、小学生の時から「原発見学やエネルギー・原子力」教育を強化し、原子力に違和感ない県民の育成がされる。これは原発の危険を見抜く主権者づくりを阻害する。さらに、産官学一体での原発推進体制の強化。たとえば、福井大学、福井工業大学ではあたらしい専門をつくって原発企業から講師を招いている。大学教員が県の原発関係委員会の委員になる。研究費の支援など「抱き込み」がすすんでいる。この背景には大学の「独立行政法人化と運営費交付金の削減」、そのなかでの「研究資金獲得の緊急性」などの要因もあるだろう。
最近では、今年2月にはフランスの原子力教育機関や高速増殖炉「Phenix」、MOX燃料工場「MELOX」などを学生7名と教員3名が研修し、教育機関で原子炉物理の講義を受けるとともに、PWRの運転シュミレーターなどを体験している。また、今年度から3年間、文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業」に採択され、福井大学、福井県立大学、福井工業大学も参加し、「環境・エネルギー関連分野の次世代産業クラスターの形成」をめざすとされている。このような方向の加速は、原発立地県での批判的な研究が阻害されていく恐れがある、と私は懸念している。
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30年、50年後に原子力発電が日本や世界の中軸をになう情勢にはならないだろう。やはり将来に負荷の少ない、環境重視、地域分散、世界の持続可能性を重視した方向を人類は選択していくのではないか。
日本は予算の上でも「原子力偏重」がつづいているが、これもそう遠くない将来に見直されなくてはならない。地震列島日本での原発の過密化・巨大化への警告はすでに発せられているのだから。地元大学だからこそそういう長期的視点での研究をおこなってほしいと思う。