前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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辻井喬『茜色の空』

2010年04月01日 | Weblog
   昨日の毎日新聞に、「小説:『茜色の空』で大平正芳の肖像描いた辻井喬さんに聞く 魅力的な保守政治とは」が掲載されていた。

・・・・・・高い理想を持ちながらも、権力闘争に翻弄(ほんろう)された政治家、大平正芳(1910~80)の肖像を描いた作品。さまざまな問題をはらんでいて、大人が読んで面白い一冊だ。
 辻井さんはこれまでに数多くの政治家に接してきた。東大在学中は共産党に入党し、卒業後は衆議院議長だった父・堤康次郎の秘書として、政治家たちの姿を見た。さらに、経営者として、たくさんの政治家たちと交流した。そんな辻井さんにとって、生誕100年を迎えた大平は、他の政治家たちと随分と印象の違う人物だったという。
 「リベラルな保守主義の可能性というものを追い求めた人だと思うのです。人間の顔をした保守政治といえばいいでしょうか。彼の軌跡をたどることは、日本の政治風土を考えることにもつながるでしょう」
  辻井さんが大平に初めて会ったのは、彼が衆議院議員になったばかりのころ。訪ねてきた大平を見て、「感じのいい人だ」と思ったという。
 「威張らないんですね。初めて当選した人でも、議員になった途端、威張る人が少なくありません。領袖の名前を出したり、上からの視線で話したり。ところが大平さんは実に丁寧で、言うことはきっちり言うけれど、相手の話をよく聞く。この人は違うな、と思った。その後、池田勇人さんのところで会ったりして、だんだんと自由に話ができる間柄になりました」
 政治の世界がともすれば、合理性や公平性よりも、権力の争奪という性格を帯びていることを実感していく。宏池会会長に就任してからは、さらに激しい権力闘争に翻弄される。同盟者である田中角栄の逮捕、福田赳夫との壮絶な争い、選挙の最中の死。・・・・・・

              ★

    つられて一読した。
「アー、ウー」が有名だが、わたしにとって、学生時代の総選挙で大平総理の急死、そして自民党の勝利、というシーンはあざやかに記憶にのこる。
たしか自民党のビラは政策ぬきで「弔い合戦」前面だった。心情にうったえる作戦がそれまでの自民党にたいする国民の批判をきれいさっぱり流した、との印象がある。

    二大政党制を志向していたが、今日の状況をみたら、二大政党では解決できない問題、より深くなる問題が多々あることに悩んだことだろう。

    秘書だった伊藤氏の本は随分以前に読んだが、こちらも大平総理をめぐる内面を描いていて面白かった。

   ところで、共産党の宮本顕治についても書く人がいないかな。しかし、宮本さんは個人崇拝につながるものは反対で、「写真」などを掲げることも認めなかったというから・・・・・。客観的な評伝は必要だと思うが。