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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「なぞえなし」用例

2015年10月24日 | 日本国語大辞典-な行

 「なぞえなし」という単語には、「差別のないさま。一様であるさま。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『千首和歌太神宮法楽』(1542年)からの例が早いのですが、さらに、300年ほどさかのぼる用例があります。

世の中よたかきいやしきなぞへなくなどありそめし思ひなるらん(拾遺愚草、上、161)
『新編国歌大観3 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、788ページ

山ひめのこきもうすきもなぞへなくひとつにそめぬよもの紅葉ば(拾遺愚草、上、1436)
『新編国歌大観3 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、804ページ


「涙片敷く」用例

2015年09月29日 | 日本国語大辞典-な行

 「涙(なみだ)片敷(かたし)く」という用語は「涙を流しながら腕や肘(ひじ)を枕にして一人で寝る。」という語釈で、日本国語大辞典・第二版では、『玉葉和歌集』(1312年)からの例を早い例としてあげていますが、100年以上さかのぼる用例があります。

独ねのなみだかたしき床ふりて幾度袖をくたしかふらん
(民部卿家歌合、久恋、十四番、212)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、332ページ
※巻末解題によると、この歌合は建久6年(1195)に催されたとのことです。

千百五十四番 右 家長
かきくもりあめふるやどのあきかぜになみだかたしきこよひかもねむ
(千五百番歌合、2307)
『新編国歌大観 第五巻 歌合編 歌集』角川書店、1987年、485ページ
※千五百番歌合は、1202-03年成立。


「法(のり)の教え」用例

2015年08月11日 | 日本国語大辞典-な行

 「法(のり)の教え」という用語は「仏の説いた教え。仏教。」という意味です。日本国語大辞典・精選版では玉葉和歌集(1312年)の和歌を用例としてあげていますが、さかのぼる用例があります。

左 成範
ふたつなき法のおしへを背つゝいく度六のみちにまとひぬ
(巻第百八十七・広田社歌合、述懐)
塙保己一編『群書類従・第十二輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、220ページ

西の池にこころの花をさきだててわすれず法のをしへをぞ待つ
(聞書集)
佐佐木信綱校訂『新訂 山家集(岩波文庫)』岩波書店、1928年、232ページ


「庭の訓(おしえ)」用例

2015年08月10日 | 日本国語大辞典-な行

 「庭の訓(おしえ)」という用語は「家庭の教訓」という意味で、日本国語大辞典・精選版では新千載和歌集(1359年)の和歌を早い用例としてあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

傳へくる庭のをしへのかたはかり跡あるにたに猶まよひつゝ
(巻第百七十二・弘長百首、雑、述懐)
塙保己一編『群書類従・第十一輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、310ページ

ききおきし-ことのはことに-わすれぬは-にはのをしへの-あきのしらつゆ
(嘉元百首・929~日文研HP和歌データベース)


「沼田」用例

2015年05月29日 | 日本国語大辞典-な行

 「沼田」という単語には「沼のように泥水の深い田。」という語釈があり、1638年の用例を早い例としてあげていますが、400年以上さかのぼる用例を含む、複数のさかのぼる用例があります。

さみだれて沼田のあぜにせしかきは水もせかれぬしがらみの柴
(聞書集)
佐佐木信綱校訂『新訂 山家集(岩波文庫)』岩波書店、1928年、250ページ

わか恋は深き沼田の心ちしてこゝともえこそ思ひかへさね
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原経家、恋)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、597ページ

すかのねは-むへなかからし-かたふちの-ぬまたをふかみ-たれかそへけむ
(新撰和歌六帖・02184)日文研HPの和歌データベースより