monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

ともしび

2011年09月26日 | 日本古典文学-和歌-秋

窓のもとにかかげてもなほ影くらくふけぬと見ゆる夜半の灯(草庵集百首和歌)

ともしびの光さびしき閨(ねや)のうちにさよもふけぬるほどぞ知らるる(玉葉和歌集)

柴の庵(いほ)ひまもる風のはげしさに影さだまらぬ窓のともしび(延文百首)

憂きにそふかげよりほかの友もなししばしな消えそ窓のともし火(続後撰和歌集)

寝られねばただつくづくとものを思ふ心にかはるともし火の色(風雅和歌集)

長き夜の夢ぢたえゆく窓のうちになほ残りける秋の灯(新勅撰和歌集)

深き夜の夢のなごりはほのかにてのこるともなき秋のともしび(道助法親王家五十首)

燈(ともしび)もかかげつくせる暁はねやの板まのしらむをぞ待つ(広沢切)

いつもただひとり起きゐるともし火の影よりほかにとふ人もなし(宝治百首)

今宵さへむなしくふくるともし火の消えなであすもあらむものかは(新拾遺和歌集)

(2009年11月10日の「ともしび」の記事は削除しました。)


水辺紅葉

2011年09月21日 | 日本古典文学-和歌-秋

みなかみに風や吹くらし山川の瀬々のもみぢの色ふかく見ゆ(順集)

くれなゐに滝の白糸染めてけり峰のもみぢや間なく散るらむ(顕輔集)

ながれくるもみぢ葉みればからにしき滝の糸もて織れるなりけり(拾遺和歌集)

水のあやにもみぢの錦(にしき)かさねつつ河瀬に浪の立たぬ日ぞなき(拾遺和歌集)

もみぢ葉のながるる秋は川ごとに錦をあらふと人や見るらむ(後撰和歌集)

立ちどまり見てをわたらむもみぢ葉は雨と降るとも水はまさらじ(古今和歌集)

もみぢ葉の流れてとまるみなとには紅(くれなゐ)ふかき波や立つらむ(古今和歌集)


紅葉(もみぢ)

2011年09月20日 | 日本古典文学-和歌-秋

かりがねの聞こゆるなへにみわたせば四方(よも)の木ずゑも色づ きにけり(和泉式部集)

見るままにもみぢ色づ くあしひきの山の秋風さむくふくらし(風雅和歌集)

こもりくの初瀬の山は色づ きぬしぐれの雨はふりにけらしも(万葉集)

おしなべてもみぢの色になりにけり時雨に染まぬこずゑなければ(中宮亮顕輔家歌合)

天のはら時雨にくもる今日しもぞもみぢの色はてりまさりける(西宮歌合)

くれなゐの時雨ふればやいそのかみふるたびごとに野べを染むらむ(新千載和歌集)

野べごとにしぐれに染まるいろいろのもみぢの錦たれか織りけむ(快明詠百首和歌)

秋ふかくなりにけらしな鈴鹿山もみぢは雨とふりまがひつつ(新勅撰和歌集)

みなかみに風やふくらし山川の瀬々のもみぢの色ふかく見ゆ(順集)

いかだしのかざす紅葉の色に見よこの川かみの秋のふかさは(宝治百首)

にはのおもに散りてつもれるもみぢ葉は九重にしく錦なりけり(千載和歌集)

なみださへ時雨にそへてふるさとはもみぢの色も濃さぞまされる(伊勢集)

ちしほまで染むるもみぢを見るよりも袖のなみだや色まさるらん(中務内侍日記)

秋風にあへず散りぬるもみぢ葉のゆくへさだめぬ我ぞかなしき(古今和歌集)

ものごとに秋ぞかなしきもみぢつつうつろひゆくをかぎりと思へば(万葉集)

(2009年11月9日の「紅葉(もみぢ)」の記事は削除しました。)


桐の落葉

2011年09月13日 | 日本古典文学-和歌-秋

ひと葉づつ風におちゆく桐の葉のまれなる音の秋ぞさびしき(伏見院御集)

ひとしきり嵐はすぎて桐の葉のしづかに落つる夕ぐれの庭(風雅和歌集)

桐の葉もふみ分けがたくなりにけりかならず人を待つとなけれど(新古今和歌集)

秋の雨に桐の葉おつるゆふぐれのもののあはれをとふ人もがな(嘉元百首)

むらさめに桐の葉おつる庭のおものゆふべの秋をとふ人もがな(続千載和歌集)

袖にさへもろき涙をさそふなり桐のおち葉の夕ぐれの雨(延文百首)

(2009年11月8日の「桐の落葉」の記事は削除しました。)