monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「吹き遣る」用例

2015年12月12日 | 日本国語大辞典-は行

 「吹き遣(や)る」という単語の意味は「風が吹いて物を他の所へ運ぶ。」という意味で、日本国語大辞典・第二版では、『日葡辞書』(1603-04年)の例を早い用例としてあげていますが、もっとさかのぼる用例が複数あります。

おきつ風ふきやるかたにさそはれてゆきもとわたるものにぞ有りける
(29・為忠家後度百首、冬、海辺雪、480)
『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、277ページ

たひころも-またひとへなる-ゆふきりに-けふりふきやる-すまのうらかせ
(建保名所百首、秋、387、定家)~日文研の和歌データベースより

山風の吹きやる空の白雲をはるかになしていつる月かけ
(宝治百首、秋、01596、少将内侍)~日文研の和歌データベースより

もしほひの-けふりふきやる-うらかせに-くもりくもらぬ-すまのつきかけ
(沙玉集、68、貞成親王)~日文研の和歌データベースより

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「はしたかの〔枕詞〕」用例

2015年09月26日 | 日本国語大辞典-は行

 「鷂(はしたか)の」という用語の枕詞の語釈に「地名「とや野」にかかる。一説に鳥屋(とや)と同音で続くとも、また、これが元で「外山」にかかるように転じたともいう。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『新続古今和歌集』(1439年)からの例が添えられていますが、さらに、194年ほどさかのぼる用例があります。

野径月
たちかへり又もきてみんはし鷹のとやのをいづる秋のよの月
(132・壬二集、玉吟集、下、秋部、2433)
『新編国歌大観 第三巻私家集編1歌集』角川書店、1985年、776ページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ほのめく」用例

2015年08月31日 | 日本国語大辞典-は行

 「仄(ほの)めく」という単語には「ほのかに形や光が見える。見え隠れに姿をあらわす。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『宇津保物語』(970-999年頃)からの例が早いのですが、もう少しさかのぼる用例があります。

秋霧にゆくへや惑ふ女郎花はなかく野べにひとりほのめく
(9・昌泰元年秋亭子院女郎花合、十巻本、32)
萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年、101ページ

かげろふのほのめきつれば夕暮の夢かとのみぞ身をたどりつる<よみ人しらず>
(巻第十二・恋四、857)
『後撰和歌集』松田武夫校訂、岩波文庫、1945年、146ページ

かけろふの-ほのめくかけに-みてしより-たれともしらぬ-こひもするかな
おほつかな-ゆめかうつつか-かけろふの-ほのめくよりも-はかなかりしか
(古今和歌六帖)日文研HPの和歌データベースより

 ※下三首は、「かげろふの→ほのめく」という枕詞用例ということでもよさそうです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「星の別れ」用例

2015年07月07日 | 日本国語大辞典-は行

 「星の別れ」という用語の意味は「陰暦七月七日の夜、牽牛と織女の二星が会ってまた別れること。」で、日本国語大辞典・第二版では早い例として、狂歌『玉吟抄』(1608年)からの用例をあげていますが、100年以上さかのぼる用例があります。

七夕別
仙人の千ひろの竹の庭鳥や星の別の夜半を告ぐらん
(10・草根集、3424)
『新編国歌大観 第八巻 私家集編4 歌集』角川書店、1990年、138ページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「帆影」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-は行

 「帆影」という単語の用例は日本国語大辞典・第二版では14cの例を早い例としてあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

 京極殿の池にかゝり火ともして人びとこ舟にのりてあそふ蔵人為資かかちとりしたるにやる
波さはく風にまかせて行舟の帆かけにみゆるかちとりや誰
(巻第二百七十七・赤染衛門集)
塙保己一編『群書類従・第十五輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1987年、659ページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする