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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「上葉」用例

2017年07月18日 | 日本国語大辞典-あ行

 「上葉(うわば)」という単語は日本国語大辞典・第二版では、『後拾遺和歌集』(1086年)の用例を早い例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例があります。

常磐山(ときはやま)松(ゝつ)の上葉(うはゞ)もも(ゝ)みぢねば露(つゆ)も漏(ゝ)り来(こ)ぬ世(よ)にこそありけれ
(88・寛和二年六月十日 内裏歌合、十巻本、祝、善忠、37)
『平安朝歌合大成 1』642ページ

かせのまに-たれむすひけむ-はなすすき-うはははつゆも-こころおくらし
(実方集(実方朝臣集)・18~日文研の和歌データベースより)


「空蝉の〔枕詞〕」用例

2016年07月15日 | 日本国語大辞典-あ行

 「空蝉の」という枕詞には「枕 命、身、人、空(むな)しなどにかかる。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、源氏物語(1001‐14年頃)の用例を早い例としてあげていますが、さかのぼる用例が複数あります。

うつせみの命を惜しみ波に濡れ伊良虞の島の玉藻刈り食(は)む
(巻第一、24)
伊藤博校注『万葉集 上巻』(角川文庫)1987年、61ページ 

00192 [詞書] 題しらす
よみ人しらす 
うちはへてねをなきくらす空蝉のむなしきこひも我はするかな
(後撰和歌集~日文研の和歌データベースより)

00971  [詞書] かくいひかよはすほとに、三とせはかりになり侍りにけれは
荒玉の年の三とせはうつせみのむなしきねをやなきてくらさむ
(後撰和歌集~日文研の和歌データベースより)


「言い兼ねる」用例

2016年05月07日 | 日本国語大辞典-あ行

 「言い兼(か)ねる」という単語の用例は、日本国語大辞典・第二版では、『風雅和歌集』(1346-49年頃)からの例が早いのですが、100年以上さかのぼる用例があります。

誰ゆへそ月をあはれといひかねて鳥のねをそきさよの手枕
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原定家、恋)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、605ページ


「薄葺き」という単語

2015年11月23日 | 日本国語大辞典-あ行

 「薄(うす)葺(ぶ)き」という単語は日本国語大辞典・第二版には立項していませんが、以下の用例があります。

くるはるは-かつらきやまや-こえつらむ~(略)~まきのうすふき-めもあはて~
(久安百首、郁芳門院安芸)~日文研HP・和歌データベースより

やまさとの-まやのうすふき-まはらにて-あはぬおもひの-なそやひまなき
(万代集・1820)~日文研HP・和歌データベースより

なお、いわゆる広島県の屋根屋には、厚葺きを主とする高田派と、比較的薄葺きの音戸派があるということを白木町で聞いたが、 (略)
(Ⅲ・生活の諸相)
『広島県史 民俗編』編集・発行 広島県、1978年、991ページ


「雨」用例

2015年11月09日 | 日本国語大辞典-あ行

 単語「雨」には「雨のように降るもの。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では1891年の用例を古い用例としてあげていますが、もっとさかのぼる複数の用例があります。

たちとまり/みてをわたらん/紅葉はゝ/雨と降とも/水はまさらし //
(古今和歌集巻第五・秋歌下)~国文学研究資料館HPより

紅葉はの/雨とふるなる/木の間より/あやなく月の/影そもりくる //
(後拾遺和歌集第五・秋下)~国文学研究資料館HPより

水もなく/みえこそわたれ/大井河/きしのもみちは/雨とふれとも //
(後拾遺和歌集第五・秋下)~国文学研究資料館HPより

立田山峯の嵐にあらはれて木葉の雨は音はかりこそ
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、藤原範光、冬)
『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』塙保己一編、続群書類従完成会、昭和58年、610ページ

いろみえぬ-ふゆのあらしの-やまかせに-まつのかれはそ-あめとふりける(イふりぬる)
(拾遺愚草・1362)~日文研HPより

こゑはかり-このはのあめは-ふるさとの-にはもまかきも-つきのはつしも
(拾遺愚草員外・445)~日文研HPより
日国:1240年頃

成阿法師
庭に落つるは桐の葉の雨
山里はかげの中なる月を見て
(菟玖波集・1145)~バージニア大学HPより

あめとふる-やまのこのはの-しからみに-せかれてまさる-たにかはのみつ
(延文百首・1457)~日文研HPより

もみちはの-あめとふるにも-まさりけり-せかれてよとむ-やまかはのみつ
(草庵集・693)~日文研HPより

たにかはの-みつよりいろそ-まさりゆく-このはのあめの-ひかすかさねて
(永享百首・563)~日文研HPより
1434年

寄桐恋
身にしむもことはりしらぬ秋風になにそはつらき桐のはの雨
(50・正徹4・草根集、4748)
『私家集大成 5巻(中世3)』和歌史研究会編、明治書院、昭和58年、670ページ


さるさけふ深山の岩屋雲とちて梢にさやく椎のはの雨
(50・正徹4・草根集、11219)
『私家集大成 5巻(中世3)』和歌史研究会編、明治書院、昭和58年、870ページ

雨中落花
あめとふり-ゆきとよにちる-しらくもの-ありてはてうき-はるのはなかな
(草根集・01460)~日文研HPより