monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「尾花の袖」

2015年11月05日 | 日本国語大辞典-あ行

 「尾花が袖」という用語は日本国語大辞典・第二版の項目がありますが、「尾花の袖」は立項していません。意味は同じで、「尾花が風になびくさまを、人を招くのにゆれる袖に見立てていう語。」ですが、「尾花が袖」よりも「尾花の袖」の方が用例としては早いです。

招くにし秋のとまらぬものならば尾花の袖やせばくなりなむ
(42・天暦二年九月十五日庚申陽成院一宮姫君歌合、十巻本、37)
萩谷朴『平安朝歌合大成 増補新訂 第一巻』同朋舎出版、1995年、310ページ

ならびふす尾花の袖のかさなりてほずゑもつたふ秋の白露
(夫木和歌抄、巻第十三・秋部四、露)
『校註国歌大系 第二十一巻(夫木和歌抄・上巻)』国民図書、1930年、394ページ

けふといへは-をはなのそての-わかれまて-ひきとめかたく-あきそくれゆく
(延文百首)~国文学研究資料館HPより


「秋の影」用例

2015年09月25日 | 日本国語大辞典-あ行

 「秋の影」という用語の語釈には「(2)秋の月のひかりに照らし出された光景。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『衆妙集』(1671年)からの例が添えられていますが、300年以上さかのぼる用例があります。

夕より空なる月のしらま弓すゑまでみゆる秋のかげかな
(38・文保百首、藤原為実、秋二十首、2339)
『新編国歌大観 第四巻定数歌編 歌集』角川書店、1986年、528ページ


「秋の雲」用例

2015年09月22日 | 日本国語大辞典-あ行

 「秋の雲」という用語の用例は、日本国語大辞典・第二版では、御伽草子『桜の中将』(室町末)からの例が早いのですが、文安千句(文安月千句)は、文安2年(1445)に行なわれたとのことなので、以下の用例でさかのぼります。

雨残る山のかたへの秋の雲
(巻第四百七十三・文安千句、何路・第五)
『続群書類従 第十七輯上(訂正三版)』続群書類従完成会、1979年、393ページ


「麻の葉流す」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-あ行

 「麻の葉流す」という用語の日本国語大辞典・第二版用例よりもかなりさかのぼる用例が以下のとおりあります。

みそぎする河瀬に秋やかよふらん麻の葉ながす袖ぞ涼しき
(延文百首、御製、夏十五首、夏祓、35)
『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、540ページ


「岩垣清水」用例

2015年06月13日 | 日本国語大辞典-あ行

 「岩垣清水」という単語の早い用例として『日本国語大辞典・第二版』は1265年の「続古今集」和歌をあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

掬ぶ手の石間をせばみ奥山の岩垣清水飽かずもあるかな
(古今和歌六帖、第五、初めてあへる)
『校註国歌大系 第九巻』国民図書、1929年、450ページ

こけちもる-いはかきしみつ-むすひかね-あくへくもあらぬ-きみにもあるかな
(基俊集・84)日文研HPの和歌データベースより