「痩(や)せる」という語の「植物の茎・葉が生長しなくなる。」という語釈の古い用例として、日本国語大辞典・第二版では「柴の下草やせぬとて~」という『新撰六帖題和歌』(1244年頃)の和歌用例を挙げていますが、200年以上さかのぼる用例があります。
さくらをのをふのしたくさやせたれどたとふばかりもあらずわが身は
(4・古今和歌六帖、第五、おもひやす、2999)
『新編国歌大観 2』角川書店、1984年、234ページ
「痩(や)せる」という語の「植物の茎・葉が生長しなくなる。」という語釈の古い用例として、日本国語大辞典・第二版では「柴の下草やせぬとて~」という『新撰六帖題和歌』(1244年頃)の和歌用例を挙げていますが、200年以上さかのぼる用例があります。
さくらをのをふのしたくさやせたれどたとふばかりもあらずわが身は
(4・古今和歌六帖、第五、おもひやす、2999)
『新編国歌大観 2』角川書店、1984年、234ページ
「夕声」という単語の用例は、日本国語大辞典では1346年の例を早い用例としてあげていますが、100年以上さかのぼる用例があります。
夏山のみねのこ末やいかならん入日にひゝくせみの夕聲
(巻第三百八十二・正治二年院御百首下、中納言得業信廣)
『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、627ページ
「八穂蓼(やほたで)」という単語の早い例として、日本国語大辞典・第二版では11C初の用例をあげていますが、さかのぼる用例が複数あります。
みな月のかはらにおもふやほたでのからしや人にあはぬこころは
(4・古今和歌六帖、第六、たで、3869)
『新編国歌大観 2巻』角川書店、1984年、246ページ
にはみればやほたでおひてかれにけりからくしてだに君がとはぬに
(29・順集、夏、19)
『新編国歌大観 3巻』角川書店、98ページ
「山岸」という単語の早い例として、日本国語大辞典・第二版では、釈迢空『春のことぶれ』(1930年)からの例が添えられていますが、さらに、457年さかのぼる用例があります。
山岸のしづくの露か氷室風さえぬ時なくこほるした柴(10・草根集、2929)130ページ
竹の樋にうけてぞむすぶ山ぎしの苔の雫のつもる流を(10・草根集、9735)242ページ
庵しむるそのの竹原しげからで巖あやふき上の山ぎし(10・草根集、9757)242ページ
(『新編国歌大観 第八巻 私家集編4 歌集』角川書店、1990年)
「指を折る」という用語には「指を一本ずつ曲げて、物を数える。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『日葡辞書』(1603-04年)からの例が早いのですが、130年ほどさかのぼる用例があります。
年欲暮
とにかくに暮るる日数をしたふかなわが年程のゆびを折りつつ(10・草根集、6389)189ページ
夜懐旧
さきだつはゆびををりても数しらず鴫よなにぞの夜はの羽がき(10・草根集、10314)251ページ
『新編国歌大観 第八巻 私家集編4 歌集』角川書店、1990年