故郷の空
夕空はれて あきかぜふき
つきかげ落ちて 鈴虫なく
おもえば遠し 故郷(こきょう)の空
ああ わが父母(ちちはは) いかにおわす
すみゆく水に 秋萩(あきはぎ)たれ
玉なす露は すすきにみつ
おもえば似たり 故郷の野辺
ああ わが兄弟(はらから) たれと遊ぶ
故郷の空
夕空はれて あきかぜふき
つきかげ落ちて 鈴虫なく
おもえば遠し 故郷(こきょう)の空
ああ わが父母(ちちはは) いかにおわす
すみゆく水に 秋萩(あきはぎ)たれ
玉なす露は すすきにみつ
おもえば似たり 故郷の野辺
ああ わが兄弟(はらから) たれと遊ぶ
茶摘み
夏も近づ く八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
「あれに見えるは茶摘みぢやないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠」
日和(ひより)つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
「摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本(にほん)の茶にならぬ」
冬景色
さ霧消ゆる湊江(みなとえ)の
舟に白し朝の霜
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず岸の家
烏(からす)啼きて木に高く
人は畑(はた)に麦を踏む
げに小春日(こはるび)ののどけしや
かえり咲(ざき)の花も見ゆ
嵐吹きて雲は落ち
時雨降りて日は暮れぬ
若(も)し燈火(ともしび)の漏れ来ずば
それと分かじ野辺の里
かあさんの歌(作詞・作曲:窪田聡)
母さんが夜なべをして 手袋編んでくれた
こがらし吹いちゃ冷たかろうて せっせと編んだだよ
故郷(ふるさと)の便りは届く 囲炉裏の匂いがした
母さんは麻糸紡ぐ 一日紡ぐ
おとうは土間で藁打ち仕事 おまえも頑張れよ
故郷の冬は寂しい せめてラジオ聴かせたい
母さんのあかぎれ痛い なま味噌を擦り込む
根雪も融けりゃ もすぐ春だで 畑が待ってるよ
小川のせせらぎが聞こえる 懐かしさがしみとおる
冬の夜
燈火(ともしび)近く 衣(きぬ)縫う母は
春の遊びの楽しさ語る
居並ぶ子どもは指を折りつつ
日数(ひかず)かぞえて喜び勇む
囲炉裏火(いろりび)はとろとろ 外は吹雪
囲炉裏のはたで縄なう父は
過ぎしいくさの手柄を語る
居並ぶ子どもはねむさ忘れて
耳を傾けこぶしを握る
囲炉裏火はとろとろ 外は吹雪