菊のはな夜(よ)のまに色やかはれると露をはらひて今朝見つるかな(内大臣家歌合)
菊のはな手折りては見じ初霜の置きながらこそ色まさりけれ(新古今和歌集)
初霜とひとつ色には見ゆれども香(か)こそしるけれ白菊の花(続古今和歌集)
花と見しまがきも今はあれはてて霜ににほへる菊のひともと(新続古今和歌集)
霜のうちにのこれる菊の錦にはたちまさるべき花のなきかな(夫木抄)
ちりはてて花なきときの菊なればうつろふ色の惜しくもあるかな(続古今和歌集)
うつろふもさかりを見する花なれば霜に惜しまぬ庭のしら菊(新後撰和歌集)
白菊の花もてはやす霜の色に月のひかりをさしそふるかな(為忠家後度百首)
染めかふるまがきの菊のむらさきは冬にうつろふ色にぞありける(風雅和歌集)
むらさきにうつろひにしを置く霜のなほ白菊と見するなりけり(後拾遺和歌集)
霜枯れの菊なかりせばいとどしく冬の籬(まがき)やさびしからまし(内大臣家歌合)
おのづ から残るもさびし霜枯れの草葉にまじる庭のしら菊(新後撰和歌集)