秋の来て露まだなれぬ荻の葉にやがてもやどる夕月夜かな(仙洞句題五十首)
置く露もまだ色うすきころもでにやどりならはむ月の影かな(詠十首和歌)
見るままに心ぞうつる秋萩の花野の露にやどる月かげ(新後撰和歌集)
露分けてふるさと人を浅茅生(あさぢふ)にたづ ねば月のかげやこぼれむ(壬二集)
月かげもまねく袖にや宿るらむ野べの尾花の秋の白露(藤葉和歌集)
袖のうへ枕のしたにやどりきて幾年(いくとせ)なれぬ秋の夜の月(続古今和歌集)
天の河八十瀬(やそせ)の浪やあらふらむ清くもすめる秋の月かな(右衛門督歌合)