雨やまぬ山の雨雲たちゐつつやすきそらなく君をしぞ思ふ(古今和歌六帖)
あしひきの葛城山にゐる雲の立ちてもゐても君をこそ思へ(拾遺和歌集)
風ふけば空にただよふ雲よりもうきて乱るる我が心かな(二条太皇大后宮大弐集)
うきながら消えずはありとも白雲の空に乱れて恋ひやわたらむ(宝治百首)
中空(なかぞら)に浮きたる雲のはてもなくゆくへ知らずも恋ひわたるかな(宝治百首)
いかにせむ身はなか空にあま雲のはれぬ思ひのゆく方(かた)もなし(後崇光院御百首)
我が恋は逢ふをかぎりのたのみだに行方も知らぬ空のうき雲(新古今和歌集)
恋ひわびてながむる空の浮き雲やわが下燃えのけぶりなるむ(二度本・三度本金葉和歌集)
うつりゆく人の心は白雲のたへてつれなきちぎりなりけり(建仁元年仙洞五十首)