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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 二月晦日頃

2014年02月28日 | 日本古典文学-春

今は昔、二月つごもり、風うち吹き、雪うち散るほど、公任の、宰相の中将と聞こえける時、清少納言がもとへ懐紙に書きて、
  少し春ある心地こそすれ
と有りける。「げに今日の気色にいとよくあひたるを、いかが付くべからむ」と思ひわづ らふ。
  空さえて花にまがひて散る雪に
と、めでたく書きたり。いみじくほめ給ひけり。俊賢の宰相、
「内侍になさばや。」
とのたまひけるとぞ。
(古本説話集~講談社学術文庫)

二月つごもりがた、雨いみじう降りてつれづ れなるに、(略)
長押の下に火近く取りよせて、さし集ひて篇をぞつく。(略)炭櫃のもとにゐたれば、又そこにあつまりゐて物などいふに、(略)
「これ頭中將殿の奉らせ給ふ、御かへり疾く」といふに、(略)見れば、青き薄樣にいと清げに書き給へるを、心ときめきしつるさまにもあらざりけり。「蘭省の花の時錦帳の下」と書きて、「末はいかにいかに」とあるを、如何はすべからん。御前のおはしまさば御覽ぜさすべきを、これがすゑ知り顏に、たどたどしき眞字は書きたらんも見ぐるしなど、思ひまはす程もなく、責めまどはせば、唯その奧に、すびつの消えたる炭のあるして、「草の庵を誰かたづ ねん」と書きつけて取らせつれど、返事もいはで、(略)
(枕草子~バージニア大学HPより)

故式部卿宮うせ給ける時はきさらきのつこもり花のさかりになん有けるつゝみの中納言のよみ給ける
咲匂ひ風まつほとの山桜人の世よりは久しかりけり
三条の右のおとゝの御返し
はるはるの花はちるとも咲ぬへし又逢かたき人のよそうき
(大和物語~バージニア大学HPより)

二月晦方に、風のいみじう吹くに
花散らす春の嵐は秋風の身にしむよりも侘しかりけり
(和泉式部続集~岩波文庫)

きさらぎ
冬ごもり 春にはあれど 埋み火に 足さしのべて つれづ れと 草の庵に とぢこもり うち數ふれば きさらぎも 夢の如くに すぎにけらしも
(良寛歌集~バージニア大学HPより)

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