さやかなるひかりのかぎろひのつちに芽はのびゆき、うつつににほふ月の夜の狭霧の肌をすべすべとおよぐ若やぐ心のひとむれ。それは根笹の雪のゆれおちるおとのやうに、うすものにつつまれて旅立ちゆくみどりの行者か。たはむれ、さざめき、かがやき、見知らぬ果の断崖にとびたつ巣立の鳥のかろい羽ばたき、またうらわかいをとめの乳房のつつむとほい夢のこゑである。
(『限定版 大手拓次全集 別巻』(白鳳社、1971年、445~446p)より「季節題詞」)
さやかなるひかりのかぎろひのつちに芽はのびゆき、うつつににほふ月の夜の狭霧の肌をすべすべとおよぐ若やぐ心のひとむれ。それは根笹の雪のゆれおちるおとのやうに、うすものにつつまれて旅立ちゆくみどりの行者か。たはむれ、さざめき、かがやき、見知らぬ果の断崖にとびたつ巣立の鳥のかろい羽ばたき、またうらわかいをとめの乳房のつつむとほい夢のこゑである。
(『限定版 大手拓次全集 別巻』(白鳳社、1971年、445~446p)より「季節題詞」)