貞和二年百首歌奉りし時 前中納言経顕
さためなくしくるゝ雲の晴まより日影さひしき冬はきにけり
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
かみなつきときをたかへすあまつひのかけものさむきふゆをつくなり
(沙玉集~日文研HPより)
神無月をりにしたかふならひとてよものあらしもさえてふくなり
(建長八年九月十三日・百首歌合~日文研HPより)
題しらす 鎌倉右大臣
秋はいぬ風に木葉は散はてゝ山さひしかる冬はきにけり
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
神無月のついたちごろ、宇治にて逍遥し侍りけるに、八の宮の住み侍りける所の、梢ごとにおもしろう、遠目さへすごげなるに 匂ふ兵部卿のみこ
秋果てて寂しさまさる木のもとを吹きなすぐしそ峰の松風
右衛門督
いづくより秋は行きけん山里の紅葉の陰は過ぎ憂きものを
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)
けさはまたくもりもあへすかみなつきもみちとともにふるしくれかな
(文保百首~日文研HPより)
時雨知冬といへる心をよませ給うける 法皇御製
時雨行空にもしるし神無月くもりもあへす冬やきぬらん
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
道助法親王家五十首歌に、朝時雨 藤原信実朝臣
冬きぬといふはかりにや神無月けさは時雨のふりまさりつゝ
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
神無月のついたちに
たぐひなく憂き別れ路の袖の上にいとど降り添ふ初時雨かな
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)
神な月のついたちに、女につかはしける 東三条入道摂政太政大臣
なけきつゝかへす衣の露けきにいとゝ空さへ時雨そふらん
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)