monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

朽ち木

2021年07月09日 | 日本古典文学-草樹

 雨そぼふれる朝に勝長壽院の梅ところどころ咲きけるを見て花にむすびつけ侍し
古寺のくち木の梅も春雨にしぼちて花もほころびにけり
(金槐和歌集~岩波文庫)

ふるかはや-たてるくちきの-かたえにも-かせのすかたは-あをやきのいと 
(春夢草~日文研HPより)

行路柳
我のみやむもれはてなむ道のへの朽木の柳春はわすれす
(宝治百首-但馬~日文研HPより)

ひころより-くちきのやなき-かけあさみ-むすふしみつそ-ぬるくなりぬる 
(為尹千首~日文研HPより)

あきのつゆに-そてもくちきの-そまかたに-みちまとふしかの-こゑそみにしむ 
(後鳥羽院御集~日文研HPより)

冬虫
三冬つき春の花開きいてはとや虫もくち木の枝にこもれる
(草根集~日文研HPより)

参議雅経はやう住侍ける家に、まりのかゝりの柳、二もと残りて侍けるを見て読侍ける 侍従雅有
故郷のくち木の柳いにしへの名残は我もあるかひそなき
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

太宰權帥俊賢
 馴れ來ても共に幾年過ぎぬらん
いまの朽木はうゑおきし花
(菟玖波集・103~バージニア大学HPより)

あまりに苦しう候ふほどに。これなる朽木に腰を懸けて休まばやと思ひ候。
(謡曲「卒塔婆小町」~バージニア大学HPより)

すべて朽木などのやうにて、人に見捨てられて止みなむ」と
(源氏物語・手習~バージニア大学HPより)

凡は老て子を失は、朽木の枝なきに喩たり。
(源平盛衰記~バージニア大学HPより)

 女どもの見てわらひければよめる けむげいほうし
かたちこそみ山がくれの朽木(くちき)なれ 心は花になさばなりなん
(古今和歌集~岩波文庫)

山家灯
たよりなき山の朽木をあつめてもよるの光とたのむ窓かな
(草根集~日文研HPより)

寄朽木恋
数ならぬみ山かくれになしてたによるは朽木のもゆるならひを
(草根集~日文研HPより)

寄木恋
谷ふかきかけのくち木と成りはてて我か身をしらぬ恋そかなしき
(宝治百首-道助~日文研HPより)

寄朽木恋
年をへて憂き言の葉のつきしよりかけの朽木の身をそうらむる
(草根集~日文研HPより)

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埋もれ木(うもれぎ/むもれぎ)

2021年07月03日 | 日本古典文学-草樹

とりのねも-きこえぬたにの-うもれきは-わかひとしれぬ-なけきなりけり 
(古今和歌六帖~日文研HPより)

うもれきの-うへはつれなく-ありなから-したにはふかき-こひもするかな 
(能宣集[円融院献上本]~日文研HPより)

(たいしらす 読人不知)
なとり川/せゝのむもれ木/顕れは/いかにせんとか/あひみそめけん 
(古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

恋歌の中に 平政長 
うしとても/あふにしかへは/名取川/よし顕れよ/せゝの埋木 
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

(ひやくしゆのうたたてまつりけるとき、こひのうたとてよめる) 左京大夫顕輔 
おもへとも/いはての山に/年を経て/朽やはてなむ/谷の埋木 
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌奉し時 前関白太政大臣 
我恋は/深山かくれの/埋木の/くちはてぬとも/人にしられし 
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

 おもはずに奥州にいきける時、せぜのむもれ木きりて便につけて、孝範へまゐらすとて
世に残るなとりの河のいかなれば身はむもれ木となりはてぬべき
(雲玉集~「新編国歌大観8」)

たにかけに-あるもかひなき-うもれきの-しられぬなさへ-くちやはてなむ
(日吉社撰歌合_寛喜四年三月十四日~日文研HPより)
.

残雪の心を 土御門院御製 
むもれ木の/春の色とや/残るらん/あさ日かくれの/谷の白雪 
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

救濟法師
 ありとも見えぬ苔の下水
埋れ木の枝には波の花咲きて
(菟玖波集・1028~バージニア大学HPより)

谷鴬
氷とけ上こす花のささ浪にうくひすさそふ谷の埋木
(草根集~日文研HPより)

 (落花の心をよめる) 覚樹法師 
峯にちる桜は谷の埋木に又さく花と成にけるかな 
(金葉和歌集(初度本)~日文研HPより)

(たいしらす) 源頼康 
山桜/なかるゝ水を/せきとめて/瀬々の埋木/花咲にけり 
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

建保二年、内裏詩歌を合られけるに、河上花 定家 
なとり河/春の日数は/あらはれて/花にそしつむ/せゝの埋木 
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

谷水
谷川のしからみならぬ埋木にせかれて水のみ草よるなり
(草根集~日文研HPより)

文保三年百首歌奉りける時 前大納言為定 
名取河/せゝの埋木/うきしつみ/あらはれて行/五月雨の比 
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

夏歌の中に 従三位為継 
名とり河/せゝにありてふ/埋木も/淵にそしつむ/五月雨の比 
(新後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

渓五月雨
五月雨の日をふるままに埋木のそこともみえぬ谷の下水
(宝治百首-頼氏~日文研HPより)

澗底蛍火
谷川にそこら蛍のすたくかな苔の埋木朽ちやはつらん
(草根集~日文研HPより)

權律師源義
 もみぢをわたす谷川の橋
埋れ木も蔦のかかるに秋しりて
(菟玖波集・1167~バージニア大学HPより)

もみちちる-あふくまかはの-うもれきに-あきのいろをは-なみやそむらむ
(沙玉集~日文研HPより)

せをはやみ-あふくまかはの-うもれきに-のこるこのはの-あきそいさよふ 
(春夢草~日文研HPより)

ふりうつむ-とほやまもとの-たにふかみ-みえてすくなき-ゆきのうもれき 
(洞院摂政家百首-教実~日文研HPより)

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