雨そぼふれる朝に勝長壽院の梅ところどころ咲きけるを見て花にむすびつけ侍し
古寺のくち木の梅も春雨にしぼちて花もほころびにけり
(金槐和歌集~岩波文庫)
ふるかはや-たてるくちきの-かたえにも-かせのすかたは-あをやきのいと
(春夢草~日文研HPより)
行路柳
我のみやむもれはてなむ道のへの朽木の柳春はわすれす
(宝治百首-但馬~日文研HPより)
ひころより-くちきのやなき-かけあさみ-むすふしみつそ-ぬるくなりぬる
(為尹千首~日文研HPより)
あきのつゆに-そてもくちきの-そまかたに-みちまとふしかの-こゑそみにしむ
(後鳥羽院御集~日文研HPより)
冬虫
三冬つき春の花開きいてはとや虫もくち木の枝にこもれる
(草根集~日文研HPより)
参議雅経はやう住侍ける家に、まりのかゝりの柳、二もと残りて侍けるを見て読侍ける 侍従雅有
故郷のくち木の柳いにしへの名残は我もあるかひそなき
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
太宰權帥俊賢
馴れ來ても共に幾年過ぎぬらん
いまの朽木はうゑおきし花
(菟玖波集・103~バージニア大学HPより)
あまりに苦しう候ふほどに。これなる朽木に腰を懸けて休まばやと思ひ候。
(謡曲「卒塔婆小町」~バージニア大学HPより)
すべて朽木などのやうにて、人に見捨てられて止みなむ」と
(源氏物語・手習~バージニア大学HPより)
凡は老て子を失は、朽木の枝なきに喩たり。
(源平盛衰記~バージニア大学HPより)
女どもの見てわらひければよめる けむげいほうし
かたちこそみ山がくれの朽木(くちき)なれ 心は花になさばなりなん
(古今和歌集~岩波文庫)
山家灯
たよりなき山の朽木をあつめてもよるの光とたのむ窓かな
(草根集~日文研HPより)
寄朽木恋
数ならぬみ山かくれになしてたによるは朽木のもゆるならひを
(草根集~日文研HPより)
寄木恋
谷ふかきかけのくち木と成りはてて我か身をしらぬ恋そかなしき
(宝治百首-道助~日文研HPより)
寄朽木恋
年をへて憂き言の葉のつきしよりかけの朽木の身をそうらむる
(草根集~日文研HPより)