福島第一原発は収束するのか。
原子力発電はこのまま利用し続けるのがよいのか、やめるのか。
東北大震災がなかったかのように、最近は原発のニュースが多い。
ニュースの内容が難しいからというのと、「対立構図」が描きやすいからではないか。
東電対政府、国民、地元住民、電力利用者、企業・・・といった感じで。
個人的に足りないなと思っているのは、放射性廃棄物処理についての報道だ。
この1週間、立て続けに核廃棄物に関するドキュメンタリー番組を見た。
BS1でやっていた、フランスが作った番組と、デンマーク。あと、チェルノブイリから25年、という特集もやっていた。録画してあるので、見たい人は言ってください。
今は、なぜ核廃棄物の処理方法が確立されないまま、原子力発電技術は実用化されたのか、ということ。
―――以前、そんなことが書かれた本を読んだ。
『原発・正力・CIA――機密文書で読む昭和裏面史』/有馬哲夫
http://blog.goo.ne.jp/mreisende21/s/%C0%B5%CE%CF
じゃあ、原子力の「平和利用」を売り出していったアメリカ自身は、
核廃棄物をどうするつもりだったのか?
かつて、メチル水銀を含んだ工場排水がチッソから水俣湾に垂れ流されたように、亜硫酸ガスを含んだ排気が四日市の空に出されていたように、海に捨てれば、川に流せばよいと考えていたのだろうか。実際、番組の中では、長崎に落とされた原爆を製造していた、アメリカの旧軍事施設の周りの川は、今も放射性濃度が極めて高く、立ち入り禁止という。
今は、水俣も四日市も、亜硫酸を取り除く機器の設置などで健康に害がないような値に抑えられている、から操業できている。原子力発電も、排出物の環境対策が出来ていないうちは、操業を停止すべきじゃないのか?
「原理原則を言っても仕方がない」と言う人もいるかもしれないけど、原理原則や、科学的に、実証的に明らかなことをベースに、そこからの距離を意識しながら議論しないと、どの話も不思議と、等しく胡散臭くなってしまう。正力松太郎の時代から解説してほしい。知りたいことや知らなきゃいけないことをタイムリーに提供するのが報道会社の仕事じゃないのかー。
最後に、ドキュメンタリー番組の要約を、NHKのHPからコピペしておきます。
・フランス「終わらない悪夢」
(前編)原子力発電を推進する上で、当初から最大のネックは原子炉から排出される放射性廃棄物、いわゆる核のゴミの処理方法だ。およそ50年の間、各国はドラム缶に詰めて海洋投棄していたが、グリーンピースなど民間の反核団体の運動が高まり、1993年以降は船上からの海洋投棄は全面禁止となった。その後、各国は核廃棄物をどう処理しているのか?
核開発はもともと軍事技術として研究が進められたため、取材班はまず世界初のプルトニウム生産工場を訪ねることに。米・エネルギー庁から取材を拒否されるが、コロンビア川沿いにハンフォード核施設に近づくと、土壌からも、川の水からも、高濃度のウランやトリチウムが検出。かつて汚染水を封じ込めたコンクリートからは、今も漏洩があるという。
一方、旧ソ連の核開発拠点となったチェリヤビンスクのマヤーク核施設では、1957年に核爆発事故が起きたが、公表されず地元住民にも伏せられた。この地域を流れる川の下流は、今も放射能レベルは高く人々の健康が脅かされている。さらに汚染された魚や牛乳を食べたため体内被ばくしている例もあるというずさんな実態が明らかになる。
(後編)
世界一の原子力推進国であるフランスでは、放射性廃棄物はどのように処分されているのか?国内の原子力発電所から排出された廃棄物だけではなく、日本や他のヨーロッパ諸国からのものや、軍事用のものまでが、英仏海峡に面したラ・アーグに集められる。そこでは世界最大の原子力企業アレヴァ社が、核廃棄物の処分を一手に引き受けている。
アレヴァ社の広報担当者の説明によると、使用済み核燃料は特殊な再処理工程を経た後、1%がプルトニウムとして、95%がウランとして回収され再利用されるため、廃棄されるのは全体のわずか4%にすぎないという。そこで取材班は、回収されたウランが、どこで、どのように使われているかを知るため、追跡取材することに。
回収ウランの行き先は、フランスから8千キロ離れたシベリアの奥深くにあるトムスク、そしてさらに先にある地図に載っていない秘密都市セヴェルスクだった。外国人は立ち入りを禁じられているが、Googleマップで施設内を上空からのぞくと、たくさんのコンテナのような物体が無造作に放置されていた。使用済み核燃料95%再利用の実態はいかに?
・・・
過去に海洋投棄されていたことや、フランスで今も一部海に流されていること、フランスの再処理工場からシベリアの、地図に載っていないという土地にコンテナで置いてあること。これらが私と同じように、ドキュメンタリー中のリポーターが驚きながら追っているということは、おそらくフランスの認識レベルもそんなに高くないということだろう。
・デンマーク「地下深く永遠(とわ)に~核廃棄物10万年の危険~」
各国が頭を痛める原子力発電所の廃棄物問題。北欧のフィンランドが世界に先駆け、核のゴミの最終処分場の建設に乗り出している。「オンカロ」(フィンランド語で「隠し場所」)と呼ばれる処分場は、太古の岩盤層を深さ500mまで掘り下げた先に作られ、施設が国内で排出される核廃棄物で満パンになる約100年後に、入口を完全封鎖されるという。
核廃棄物の最終処分が難しい理由は、実はその先である。廃棄物が出す放射線が、生物にとって安全なレベルに下がるまで、欧州の基準では少なくとも10万年かかるとしている。つまりオンカロは、人類の歴史にも匹敵する膨大な歳月の間、安全性の確保が求められるのだ。革命や戦争が起きたり、気候や地殻の大変動に見舞われたりしたとしても・・・
最も危惧されているのは、今の人類が姿を消したあとの未来の知的生物が処分場に侵入し、放射線が漏れ出してしまうシナリオだという。そうならないよう、近づくと危険だという警告を伝えた方がいいのか?しかし、どうやって?あるいは何もせず、記憶から消し去ってしまう方がいいのか?原子力というパンドラの箱を開けた人類が直面する難問を描く。2010年 国際環境映画祭(パリ)グランプリ受賞作品
・あと、先日金沢で上映されていた「六ヶ所村ラプソディー」も観ました。石川県の志賀や青森の六ヶ所村など、行政主導の工業用地造成が失敗し、広大な空き地と借金が残った・・・ことが原発の誘致のきっかけなんて、ばかばかしくて悲しい。
http://www.rokkasho-rhapsody.com/_story/story
原子力発電はこのまま利用し続けるのがよいのか、やめるのか。
東北大震災がなかったかのように、最近は原発のニュースが多い。
ニュースの内容が難しいからというのと、「対立構図」が描きやすいからではないか。
東電対政府、国民、地元住民、電力利用者、企業・・・といった感じで。
個人的に足りないなと思っているのは、放射性廃棄物処理についての報道だ。
この1週間、立て続けに核廃棄物に関するドキュメンタリー番組を見た。
BS1でやっていた、フランスが作った番組と、デンマーク。あと、チェルノブイリから25年、という特集もやっていた。録画してあるので、見たい人は言ってください。
今は、なぜ核廃棄物の処理方法が確立されないまま、原子力発電技術は実用化されたのか、ということ。
―――以前、そんなことが書かれた本を読んだ。
『原発・正力・CIA――機密文書で読む昭和裏面史』/有馬哲夫
http://blog.goo.ne.jp/mreisende21/s/%C0%B5%CE%CF
じゃあ、原子力の「平和利用」を売り出していったアメリカ自身は、
核廃棄物をどうするつもりだったのか?
かつて、メチル水銀を含んだ工場排水がチッソから水俣湾に垂れ流されたように、亜硫酸ガスを含んだ排気が四日市の空に出されていたように、海に捨てれば、川に流せばよいと考えていたのだろうか。実際、番組の中では、長崎に落とされた原爆を製造していた、アメリカの旧軍事施設の周りの川は、今も放射性濃度が極めて高く、立ち入り禁止という。
今は、水俣も四日市も、亜硫酸を取り除く機器の設置などで健康に害がないような値に抑えられている、から操業できている。原子力発電も、排出物の環境対策が出来ていないうちは、操業を停止すべきじゃないのか?
「原理原則を言っても仕方がない」と言う人もいるかもしれないけど、原理原則や、科学的に、実証的に明らかなことをベースに、そこからの距離を意識しながら議論しないと、どの話も不思議と、等しく胡散臭くなってしまう。正力松太郎の時代から解説してほしい。知りたいことや知らなきゃいけないことをタイムリーに提供するのが報道会社の仕事じゃないのかー。
最後に、ドキュメンタリー番組の要約を、NHKのHPからコピペしておきます。
・フランス「終わらない悪夢」
(前編)原子力発電を推進する上で、当初から最大のネックは原子炉から排出される放射性廃棄物、いわゆる核のゴミの処理方法だ。およそ50年の間、各国はドラム缶に詰めて海洋投棄していたが、グリーンピースなど民間の反核団体の運動が高まり、1993年以降は船上からの海洋投棄は全面禁止となった。その後、各国は核廃棄物をどう処理しているのか?
核開発はもともと軍事技術として研究が進められたため、取材班はまず世界初のプルトニウム生産工場を訪ねることに。米・エネルギー庁から取材を拒否されるが、コロンビア川沿いにハンフォード核施設に近づくと、土壌からも、川の水からも、高濃度のウランやトリチウムが検出。かつて汚染水を封じ込めたコンクリートからは、今も漏洩があるという。
一方、旧ソ連の核開発拠点となったチェリヤビンスクのマヤーク核施設では、1957年に核爆発事故が起きたが、公表されず地元住民にも伏せられた。この地域を流れる川の下流は、今も放射能レベルは高く人々の健康が脅かされている。さらに汚染された魚や牛乳を食べたため体内被ばくしている例もあるというずさんな実態が明らかになる。
(後編)
世界一の原子力推進国であるフランスでは、放射性廃棄物はどのように処分されているのか?国内の原子力発電所から排出された廃棄物だけではなく、日本や他のヨーロッパ諸国からのものや、軍事用のものまでが、英仏海峡に面したラ・アーグに集められる。そこでは世界最大の原子力企業アレヴァ社が、核廃棄物の処分を一手に引き受けている。
アレヴァ社の広報担当者の説明によると、使用済み核燃料は特殊な再処理工程を経た後、1%がプルトニウムとして、95%がウランとして回収され再利用されるため、廃棄されるのは全体のわずか4%にすぎないという。そこで取材班は、回収されたウランが、どこで、どのように使われているかを知るため、追跡取材することに。
回収ウランの行き先は、フランスから8千キロ離れたシベリアの奥深くにあるトムスク、そしてさらに先にある地図に載っていない秘密都市セヴェルスクだった。外国人は立ち入りを禁じられているが、Googleマップで施設内を上空からのぞくと、たくさんのコンテナのような物体が無造作に放置されていた。使用済み核燃料95%再利用の実態はいかに?
・・・
過去に海洋投棄されていたことや、フランスで今も一部海に流されていること、フランスの再処理工場からシベリアの、地図に載っていないという土地にコンテナで置いてあること。これらが私と同じように、ドキュメンタリー中のリポーターが驚きながら追っているということは、おそらくフランスの認識レベルもそんなに高くないということだろう。
・デンマーク「地下深く永遠(とわ)に~核廃棄物10万年の危険~」
各国が頭を痛める原子力発電所の廃棄物問題。北欧のフィンランドが世界に先駆け、核のゴミの最終処分場の建設に乗り出している。「オンカロ」(フィンランド語で「隠し場所」)と呼ばれる処分場は、太古の岩盤層を深さ500mまで掘り下げた先に作られ、施設が国内で排出される核廃棄物で満パンになる約100年後に、入口を完全封鎖されるという。
核廃棄物の最終処分が難しい理由は、実はその先である。廃棄物が出す放射線が、生物にとって安全なレベルに下がるまで、欧州の基準では少なくとも10万年かかるとしている。つまりオンカロは、人類の歴史にも匹敵する膨大な歳月の間、安全性の確保が求められるのだ。革命や戦争が起きたり、気候や地殻の大変動に見舞われたりしたとしても・・・
最も危惧されているのは、今の人類が姿を消したあとの未来の知的生物が処分場に侵入し、放射線が漏れ出してしまうシナリオだという。そうならないよう、近づくと危険だという警告を伝えた方がいいのか?しかし、どうやって?あるいは何もせず、記憶から消し去ってしまう方がいいのか?原子力というパンドラの箱を開けた人類が直面する難問を描く。2010年 国際環境映画祭(パリ)グランプリ受賞作品
・あと、先日金沢で上映されていた「六ヶ所村ラプソディー」も観ました。石川県の志賀や青森の六ヶ所村など、行政主導の工業用地造成が失敗し、広大な空き地と借金が残った・・・ことが原発の誘致のきっかけなんて、ばかばかしくて悲しい。
http://www.rokkasho-rhapsody.com/_story/story