ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

映画「フロント・ページ」(1974)

2011-07-05 14:49:53 | Movie
1974年 アメリカ
監督ビリー・ワイルダー 主演ジャック・レモン


監督ビリー・ワイルダー、主演ジャック・レモンの名コンビの作品は
けっこう観ていると思っていたが、またひとつ好きな作品が増えた。
1929年、シカゴの新聞社が舞台。
プライベートのない新聞記者をやめようとしたその日、
絞首刑となった若者が脱走し、目の前に飛び込んでくる事態に。
その若者のけなげさや警察署長、シカゴ市長らのヘマも続出して、
彼はフィラデルフィアに立つための夜行の時間を見ながら、
新聞記者魂に引きづられてしまう。
テンポのよさや隅々の皮肉っぷりはさすが。
原作は、ブロードウェイのヒット舞台らしい。

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風刺の元となっているのは、新聞記者のこっけいな行動だ。
各社の電話が並ぶ記者クラブで、隣の人の一報を
知らんふりして誇張して吹き込んだり、逃げ込んできた
犯人を隠そうとして他人のフタつきデスクに入れたり。
その犯人の恋人の売春婦が、隠されたデスクから記者たちの
気をひこうとして、窓から飛び降りてしまうところなんか、
メディアスクラムと言われる現代の現象そのものの構図だと
思ってしまった。

それにしてもこの舞台の時代。新聞記者は心底で警察を批判して
いたのだな、と改めて思った。
名編集長役の人が、この腰抜け署長に糾弾する。
「シカゴでは未解決の殺人事件が412件ある」と。
一方で、拷問や冤罪がまかりとおり、権力にものを言わせていた。
行政組織を監視するというアイデンティティーが、今と比べようもなく
あったのだと思った。

あと、終わり方が秀逸。「あばよ」とは終わりませんのでお楽しみに。




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