亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ゴールド遅ればせながら自律反発

2021年02月23日 19時34分01秒 | 金市場
天皇誕生日の祭日に更新いたします。週明けのNY金は、前週前半の大幅安の自律反発を“貯めおいて” いたような上昇となった。前日比31ドル高の1808.40ドルで通常取引は終了したが、その後時間外は1809.10ドルで終了。前週末は、1777.40ドルと昨年6月末以来8カ月ぶりの安値水準で終了していた。先週は3連休明けの2月16日から2営業日に値幅で50.4ドル、率にして2.8%の大幅下落に見舞われることになった。にもかかわらず、その後2営業日の戻りは合計4.6ドルに限られていた。つまり、急落の後に見られる自律反発すら起きない状況だった。さりとて心理的な節目の価格1750ドルを売り崩す、いわゆる「投機的攻撃」というような勢いも見られない状態だった。

下げてはいるもののさほどの売り圧力を感じさせなかったのは、売り手掛かりが、米長期金利の上昇にともなったファンドの売り手じまいと、現物関連では、さみだれ的に続いている金ETF(上場投資信託)の他資産への乗り換え売りに限られていることによる。つまり、金市場を取り巻くマクロの投資環境の変化を映した売りとは異なることによる。「売り方」という表現に難があるほど、下落トレンドを作るエネルギーも感じられないのが率直なところだ。各種指標も示唆するように、売られ過ぎという状況だった。

先週末19日金曜日は、ラジオNIKKEIの午前の市況番組、「マーケットプレス(岸田恵美子キャスター)」に午前9時35分から52分まで、電話生出演だった。問われるままに、いろいろ話をさせてもらったが、金市場を見る上の目先のイベントは、バイデン政権の1.9兆ドルのレスキュー・プランがどのタイミングと規模で決まるのか。とりわけ政権が想定する3月15日までに成立するのか否かを前提に、3月16~17日のFOMC(連邦公開市場委員会)とした。中期的には、米国財政に関連するもので「決められない政治」の再来ということで、7月末に期限が到来する「連邦債務上限」の棚上げを挙げた。その上で、1800ドル割れは、「そう長くは続かない」とした。(25日まではラジオNIKKEIサイトで放送を聴けるはず、多分)

22日は、イエレン財務長官の講演が注目された。レスキュープラン(追加経済対策)については、失業率が新型コロナ前の水準にどの程度速やかに回復するかで成果を判断するとした。また、リーマンショック後の国際金融危機後の例をあげ、「連邦政府が景気の早期回復に必要な歳出を行わない場合、国内財政の健全性に悪影響をもたらす」とした。タイミングよく、「大きく動く」ことが、回復を早め、後の財政悪化を軽減するということか。。その上で、超低金利環境で財政赤字がGDP比100%に達していることは、あまり問題ではないとし、利払い費がGDPの2%程度と2007年の水準程膨らんでいないことが重要とした。

本日のパウエルFRB議長の上院での議会証言も、同じノリの発言になるのではないだろうか。ゴールド売りの材料として脚光を浴びてきた(?)米長期金利の上昇だが、さすがに米株式市場も循環物色一巡の手詰まり状態になった途端、無視できなくなったのか、22日は主要指数全体が上値を抑えられる、雰囲気のわる~~い印象だった。

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