亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

おもしろくなってきた

2021年02月24日 22時59分59秒 | 金市場
上下両院での2日間の日程の米国経済の現況を中心とした半期に1度の公聴会。初日、上院銀行委員会でのパウエル議長の発言は、市場にはいわゆるハト派的なものと受けとめられた。表面的には、その通りで間違いない。しかし、経済の基調説明の後の議員との質疑応答などからは、中央銀行としてのFRBの景気分析やインフレ動向などをめぐる変化が見られたり、変化しようと模索していたりという、これまでの議会証言あるいは公聴会になかったポイントが表れているようで何かの教材になるような話で興味深い。後に、「あの時の(コロナ禍の下での)議会証言」などと語られたりということもあるのではと思ったりする。本日は、下院にて2日目が、実施される。

報じられたのは、米国景気について、最大雇用や2%の平均インフレ達成という「FRBの目標からはほど遠い」との認識を示し、「(達成には)時間がかかる」という話。市場で懸念が高まったインフレについては、依然リスクは下方とし、2020年の反動もあり今後数カ月は上向きと思われるものの、急伸や長期にわたり持続することは予想していないとした。直近のNYでのウェブ講演でも同じ発言をしており、また1月のFOMCの議事要旨でも、この点の議論が行われたことが明らかになっている。インフレについては、新政権下で予想される大型財政出動や現状の金融緩和策が、市場で警戒されているような景気過熱によるインフレにつながるとは考えていないとしている。果たしてどうか・・・・という話で、2021年の米国経済は6%の成長もあるとするが、インフレについては大丈夫だろうと。。

表面は湿っているが、その下には「乾いた薪」があり、そこにガソリンが撒かれている状態で、しかし現時点で火の気はない。何かで引火したら、どうする!!・・・インフレ警戒派に言わせるとそういうことか。そう見えて、その実は下にある薪も「湿っている」というのが、過去20年余りにわたるディスインフレつまり物価の上がりにくい経済環境という理解もできる。それほど、従来の経済理論などが通用しなくなっているほどの、経済の構造変化が起きている可能性をパウエル議長が語っているという側面がある。一昨年前からかな、FRBは失業率は下がってもインフレは高まらないという解釈をしており、FOMC後の記者会見でも、他の講演会でも関係者がそうした解釈に言及していた。ハイパワードエコノミーなるイエレン財務長官の話もその類か・・。いずれにしても、パウエル議長の2日目の発言内容を待とうかと。

22日のイエレン財務長官、23日のパウエル議長の発言といい、双方の整合性は保たれている。例の「現代貨幣理論(MMT)」もそうだが、新たな経済環境の中で金融財政政策の立ち位置が、よくわからなくなっているようでもある。まさに海図のない航海。その中で確かな存在としてのGOLD。というと安易だが、そういうことなんだろうねぇ。

金融政策の行方に興味のある自分としては、おもしろくなってきた。しかし、こう書きながら足元のレートチェックをしたら、なんと米10年債利回りが1.4%を突破している。今夜は、荒れそうな気配・・・で、おもしろいなどどいっていられるのか否か。

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