亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ウクライナからチャイナへ、戻り売られる米国株

2022年04月26日 17時19分02秒 | 金融市場の話題

週明け25日のNY市場の金価格は5営業日続落となった。先週は、5月3、4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、金融政策関連の対外発信を控えるブラックアウト期間に入る前の機会を捉え、パウエルFRB議長をはじめ多くのFRB関係者が、タカ派的政策転換の加速見通しを唱えた。警戒感が強まった米金融市場では、米債金利が短期から長期までくまなく上昇し、ドルが主要通貨に対して買われた。ドル指数(DXY)は、2020年3月に新型コロナ禍による経済封鎖に際しての市場混乱時に、取引清算に伴いドル需要が急増した際の高値水準101ポイント後半まで上昇。

 

逆風の中で比較的底堅く推移していた金だったが、さすがに先週末には水準を切り下げていた。 週明けの市場環境は、こうした流れを引き継ぎ、ドル指数は直近の高値水準をさらに更新し一時101.856まで買われ、101.752で終了。1日の上昇率としては2020年3月11日以来の大きさとなった。こうした中でNYコメックスの通常取引は、前日比38.30ドル安の1896.00ドルで終了となった。安値は一時1891.80ドルまで見ている。2月25日以来2カ月ぶりの安値水準となる。先週末の株式市場の下げに対し、追加証拠金(マージンコール)を迫られた投資家が金ETF(上昇投信)売りで資金捻出を図っているとの指摘もある。実際に25日は最大銘柄「SPDRゴールドシェア」の残高は2.9トン減少した。

 

週明けの市場でにわかに関心が高まったのは、新型コロナの新規感染者が増え続ける中国の都市封鎖(ロックダウン)の拡大や世界経済の下振れ懸念だった。すでに上海市でロックダウンが長期化しているが、25日は北京市などで同じ措置が実施されるとの観測が強まった。 原油市場では早くから中国経済の減速を懸念し、原油需要の下振れ観測から原油価格の上値を抑える材料となってきたもの。それが週明けの人民元や上海株式市場の急落につながったのは、北京など上海市以外でもロックダウンへの警戒が強まったことによる。中国人民元は対ドルで6.5615元と1年ぶりの安値に下落。直近3日間の下げが約4年ぶりの大きさとなった。中国人民銀行(中央銀行)はこの日、銀行の外貨預金準備率の引き下げを発表した。 人民元の下落に歯止めを掛けるための措置とされる。さらにこの日の上海株式市場は、5.13%、158ポイントもの大幅下落で2928.51と節目の3000ポイント割れで終了した。上海株は本日も続落で2900ポイント割れとなっている。

 

中国経済の減速は、ウクライナ戦争の長期化とも重なり世界経済の下振れ観測につながるもの。25日は、このところのFRBの強硬姿勢を映し利回りが急騰し、投資妙味が出ていた米国債が安全資産との観点からも買われた。意外に値動きが大きく、2.896%で始まっていた取引は、2.761%に急激に低下(価格は急伸)し、株式市場などはこの低下を好感しナスダックを中心に反発となった。しかし、終盤には再び2.9%台に戻り2.904%で終了。結局、高止まりとなり、直近の高値を更新したドル指数ともども金市場では売りの手掛かり材料とされた。米国株は下げ一服といった感じで、S&P500などは4000割れに至るのではと思っている。

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