亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金市場が注目するミシガン大学消費者信頼感指数

2022年06月06日 21時41分15秒 | 金市場

5月の雇用統計は、予想より強い結果となった。非農業部門雇用者数(NFP)は前月比39万人増と、市場予想の32万5000人を上回る伸びとなった。5月は約33万人が働く意思を示し労働市場に復帰。労働参加率(62.3%)は前月より上昇した。その中で失業率は前月比並みの3.6%を維持した(労働参加率の上昇は失業率押し下げの要因となる)。失業率は3カ月連続で横ばいとなっている。新型コロナ禍前は3.5%まで低下していたが、この水準は50年ぶりの低水準3.4%に接近するものだった。インフレとの関連で注目される賃金(平均時給)は、前月比0.3%上昇と伸びは前月から横ばいだった。前年同月比では5.2%上昇と、前月の5.5%から減速となったものの、高水準の伸びを維持していることに変わりはない。伸びの鈍化は、管理職の賃金の伸びが減速したことを反映したとされる。  

 

先週は1日に4月の雇用動態調査(JOLTS)が発表され、求人件数は1140万件と過去最高となった(上方修正された)前月の1185万5000件から45万5000件の減少となったものの、労働市場が引き続き引き締まった状態にあることが改めて示された。求人はなお高水準にあり、人材確保に向けた賃上げが続く中、インフレ高進は当面は続くとみられている。一方、5月の雇用統計の前日に発表された企業向け給与計算サービスのADPの基礎データを基にする全米雇用報告の結果では、民間部門雇用者数は12万8000人増と、市場予想(30万人増)を大きく下振れたことから雇用拡大ペースの減速を示すものとの受け止め方が広がっていた。

 

いずれにしても過熱と評価される米労働市場の状況が継続していることが確認されたといえる。ここにきて議論を呼んでいたFRBによる9月利上げ見通しはその有無でなく、引き続き0.5%の引き上げになるのか否かに焦点が定まることになった。発表後に米長期金利は一時2.986%まで上昇し、米株式市場は前日の楽観ムードのリスクオンから一転しリスクオフに転じることになった。

 

今週は言うまでもなく10日の5月の米消費者物価指数(CPI)が注目だが、その動向にFRBの政策の行方がかかっているが、減速の確認というよりも高止まりの確認となった場合は、市場の反応はかなりネガティブなものとなりそうだ。減速をおりこみつつあることによる。それよりもインフレマインドを見る同じ日のミシガン大学消費者信頼感指数も重要で、この数値の低下がNY金と一定の相関性を持つことによる。それはインフレマインドを反映することによる。

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