亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

中銀のゴールド買い、すでに800トン

2023年10月31日 19時32分42秒 | 金市場

週明け10月30日のNY金は4営業日続伸となった。通常取引は前週末比7.10ドル高の2005.60ドルで終了。終値ベースで7月31日以来の高値となる。

NY時間外のアジア、ロンドンさらにNYの通常取引その後の時間外とレンジ相場が続いた。中東情勢の悪化観測から水準を切り上げた前週末NY終盤の時間外で上昇した流れを引き継いだ。前週末は2019.70ドルまで上値を見たが、この日は取引開始後のアジア時間の2016.80ドルまでで上回ることはなかった。NYの時間帯に入って以降は、2005~2010ドルのレンジ取引となり、終盤に向け徐々に下限に収束する流れだった。

中東情勢については、イスラエルのネタニヤフ首相は30日の記者会見で、イスラム組織ハマスとの停戦はないと言明し、ハマスを掃討する計画を推進すると表明した。徹底的に掃討する考えを強調し、停戦は「ハマスやテロへの降伏だ」と主張した。いかなる戦争にも意図せぬ民間人の犠牲はあり得るとした。国際世論に反応する形で人道的な見地から一時停戦を求める動きに歩み寄るスタンスは見られなかった。

 

引き続き予断を許さぬ中東情勢だが、この日の金市場の上値が限定的だったことと同様に、他市場がやや緊張がゆるむような展開になったことが目についた。

原油市場では 中東情勢を手掛かりにした買いが一服し、反落となった。武力衝突が拡大しているものの、現段階では周辺国の原油供給に支障はなく、過度の供給懸念が後退したとされる。この日の米国産原油WTIは3.23ドル安の(1バレル)82.31ドルで終了したが、これはハマスがイスラエルに大規模奇襲攻撃を仕掛ける直前の今月5日以来の安値となる。つまり中東情勢による上昇分をすべて失ったことになる。

前週末までのリスクオフの揺り戻しともいえる動きを見せたのは、米国株だった。

ダウ30種平均は前週末比511.37ドル高の3万2928.96ドルで終了。1日の上げ幅としては6月2日(701ドル高)以来の大きさとなった。直近2週間の下げ幅が1200ドルを超え、前週末は3月以来の安値となっており、値ごろ感からの買いが意外高につながったとされる。

楽観論?は産業用メタルにも波及し、ロンドン金属取引所(LME)の銅相場は一時前週末比1.6%上昇し4週間ぶり高値を付けた。この流れに乗るようにこの日のNYプラチナは939.90ドルと約5週間ぶりの高値に。NY金との価格差が先週24日に1094.20ドルと過去最大まで拡大していたが、30日は1065.70ドルまで縮小した。

当欄では一貫して王道行くならゴールドとして、目先の動きを追うならまだしも中長期ではゴールドを買うべしとしてきた。 価格形成における「通貨性の有無」が金とプラチナの価格差につながっているが、こうした環境はまだまだ続くと思われる。端的には新興国中央銀行の買いは金には見られてもプラチナには入らない。

 

ところで、昨年来話題の中央銀行の買いだが、本日日本時間15時に発表されたデータでは、なんと7~9月期も337トンもの買いが見られ、年始からの累計が800トンに上っていることが判明した。昨年の1082トンは、例外的な買いと年始時点でWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)も言っていたのだが、予想外の規模になっている。

なおNYコメックス金先物市場での短期筋のファンドの買い建て(ロング)は、10月10日時点での重量換算で46トンの売り越しから24日時点では282トンの買い越しまで膨らんでおり、2000ドル超での値動きの重さは、利益確定売りが断続的に出ているとみられる。

 

明朝のテレビ東京、モーニングサテライトでゴールド価格形成における買い手の変化について取り上げる予定。6時半過ぎに登場予定です。

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