亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米GDPはピークアウト(7~9月期)

2023年10月26日 21時28分15秒 | 金市場

NY金は10月25日3営業日ぶりに反発となり、1994.90ドルで終了。本日は、日本時間の21時までの時点で2003.70ドルまで見て、1995ドル近辺に押し戻されている。

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻について一時延期観測が流れる一方で、ガザへの空爆は激しさを増していると伝えられるなど、流動的な情勢の中で25日は金買い優勢の流れが維持された。 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は25日、イスラエルが米国の要請に応じ、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を遅らせることで合意したと報じた。イラク、シリア、クウェート、ヨルダン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などイスラエルの近隣諸国に駐留している米軍に対するミサイルやロケット攻撃がここに来て増加しており、米国防総省は防御のための防空システムの配備を急いでいるとされ、整うまで侵攻を見合わせることでイスラエル側と合意したとされる。早ければ週内に配備が整うとWSJは伝えた。

その一方でロイターは、イスラエルのネタニヤフ首相が同日のテレビインタビューでガザへの地上侵攻を準備していると発言したと伝えていた。ガザ侵攻が実行されれば中東各地に紛争が拡大する可能性があり、見通しはいまだに不透明といえ、エネルギー供給障害など世界経済への影響を懸念する見方は根強い。

 

25日の金市場は、NY早朝までの時間帯は模様眺めで前日の水準をやや下回る1980ドル台前半を横ばいで推移した。NY時間に入り騰勢を強め午前10時前には一時1998.60ドルまで買われ、これがこの日の高値に。ただし、その直後に一転売りが膨らむことになった。

発表された9月の米新築住宅販売件数が75万9000戸と前月比12.3%、前年比では34%増え、1年7カ月ぶりの高水準となり米経済の底堅さが意識され、債券売りが優勢となり長期金利が急騰したことによる。10年債利回りは、一時4.970%と5%に接近するところまで上昇。売り圧力が高まった金は、高値から25ドルほど下押し、一時1973.60ドルを付ける荒れた展開となった。

ただし、売りが一巡すると急落に対する自律的な反発が見られ、さらに積極的な押し目買いが加わり1990ドル台への復帰も早かった。終盤はもみ合いながらもそのままの水準を維持して1994.90ドルで終了ということに。

 

新築住宅販売増については、理由の一つは中古住宅の不足とされる。住宅ローン金利が上昇し続ける中(30年固定7.3%)、かつて低金利で組んだローンを維持しようと住宅を売却する人が減っている。中古住宅が市場に出回らず、代わりに新築を選んでいるとされる。実際に先行して発表された9月の中古住宅販売件数は前年同月比15%減の396万戸と、2010年以来の低水準に落ち込んでいた。また販売価格の中央値が前年同月比で12%低下(41万8800ドル(約6300万円)していることも、増加の背景とされる。

ただし、販売促進のために従来より小さい住宅を建てるケースが増え、価格が低下しているとの指摘がある。

本日は、これから米7~9月期実質GDP速報値が発表される。市場予想は前期比年率4.3%の伸びとなっているが、アトランタ地区連銀の25日時点の予測値(GDP Now)では5.4%の伸びが見込まれている。5%以上の数字が出れば、また長期金利が上がりNY金は押し目を作るパターンか。

米GDPは、今回7~9月期でピークアウトということではないかと思う。

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