亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

伝統に根差したインド

2013年02月16日 00時00分24秒 | 金融市場の話題
前日のユーロ圏10-12月期のGDPが年率換算でマイナス2.3%と2009年1-3月期以降で最大となったなり、フランスやドイツまでマイナスになったことでドルは浮き、ユーロは沈む中で金にはファンドのフレッシュ・ショート(新規売り)が拡大した。先日ここにも書いたが、このところロングの手仕舞いではなく新規の売りが増えていることが日々の動向から感じ取れていた。ユーロ圏もここから浮上という見方もあるが、域内での温度差は高い。若年層の失業率が60%を超えたと伝えられるギリシャは問題外だが、一般の失業率が25%くらいで若者のそれは50%などというスペインなども浮上には相当の時間を要しよう。

昨日はWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が2012年10-12月期の需要統計を発表した。イメージは予想以上にインドが踏ん張って需要はそれほど減らなかった、というものだった。昨年の夏前位に中華圏のアナリストを中心に聞こえてきた2012年は中国が初めて需要国としてインドを抜くという見通しは、外れた。インドは減少したものの、それは予想の半分程度で収まった。その結果、2012年は通年の総需要が4405トンで前年比では4%の減少だった。過去12ヵ月で見てインドの減少率は12%で986トンから864トンだった。前年比30%ほどは減少してもおかしくはないと見ていた。ちなみに中国は前年の779トンから776トンと平行移動とう感じだった。

経常収支の赤字が膨れ上がり主要輸入品となっている金の流入規制を引こうと、昨年から矢継ぎ早に関税の付加そして引き揚げ策を実施したインド政府だったが、思ったような効果は上げられなかった。やはり宗教上の理由や古い慣習にのっとったインド人の金購入は、根強いものがある。こうした感覚は我々日本人には理解が及ばないもののひとつといえる。

旧正月でアジア関係の取引の薄いタイミングを狙ったような、ファンドの売り攻勢が見られている。年初にFOMC議事録公表直後に記録した1926ドルを維持できるのか否かが見ものだったが、本日NYのフロア取引に入る頃には、さしたる抵抗もなく下切ることになった。

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