2月27日のNY金は反落した。トランプ大統領の関税を巡る発言を受けドルが主要通貨全般に対し上昇する中で、米株式市場は影響力の強い大型ハイテク株が売りを浴び、ナスダック総合はじめ大きく下落。リスクオフセントメントの高まりの中で、金市場では利益確定の現金化の売りが膨らんだ。
NY金通常取引は前日比34.70ドルの2895.90ドルで終了。時間外でさらに売られ2887.90ドルで時間外取引は終了。安値は2879.00ドルに。
明けて28日のアジア時間も下げモメンタムが続き、水準を切り下げながらここまでのところロンドン午前に2862.70ドルまで見ている。
27日はトランプ大統領の不規則発言が市場を揺らした。
トランプ大統領がこの日メキシコとカナダに対する25%の関税措置を予定通り3月4日に発動させると述べた。前日には両国への関税発動は4月としていたが一転した。すでに2月4日に追加関税を発動した中国にも追加で10%を課すという。この発言を受けてドルが上げ足を速め、ドル指数(DXY)の上昇は1日としては過去2カ月で最大の上昇率を記録した。
このところドル指数や米長期金利との逆相関性が薄れていたNY金だが、株安が進む中でファンドのテクニカルなポジション(持ち高)整理の売りもドル高の中で同時進行することになった。今週は本日28日の取引を残すが、先週末週足で8週連騰となっていたNY金だが、9週目で反落の可能性が高まっている。
この日発表された米経済指標は強弱まちまちとなった。 24年10~12月期(第4四半期)のGDP改定値は前期比年率2.3%増と、速報値から改定なしだった。経済の3分の2以上を占める個人消費は4.2%増と速報値と一致し経済が健全なペースで拡大したことが示された。市場予想も2.3%増だった。2024年通年の成長率は2.8%となったが23年は2.9%だった。
米連邦準備理事会(FRB)の政策担当者がインフレを伴わない成長率と見なす1.8%を大きく上回っている。ただし、25年に入って以降の指標に陰りが見られることから、今期(25年1~3月期)は減速の可能性がありそうだ。
一方、2月22日終了週の新規失業保険申請件数は、前週比2万2000件増の24万2000件で増加幅は5カ月ぶりの大幅なものとなった。市場予想は22万1000件だった。企業や連邦政府機関で人員削減の発表が増えていることを反映した。首都ワシントンでは失業保険申請件数は年初から増加傾向が続いており、先週は2023年3月以来の高水準となった。
今後、米実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が実施する連邦政府職員の大量解雇の影響が出るのは間違いなかろう。