エルサレムをイスラエルの首都として認めることを柱にした新たな米国による中東政策は、予想通り国際社会からの懸念の高まりのみならず中東地域でのデモなど反発行動を引き起こしている。ただし、急浮上した新たな地政学要因に対し金融市場の反応は、いまだに限定的で目立った影響は表れていない。ティラーソン国務長官の発言では、最後まで反対したが聞く耳を持たなかった・・・というニュアンスが感じ取られた。マティス国防長官も反対したとされる。
構想を策定したのは、やはりジャレッド・クシュナーだが、本人を含む5人の特命チームが組まれ、この中で他に諮られることなく進められたということのようだ。特命チームは専門家集団ではないとされるが、“外交の専門家ではない”ということなのか?“中東の専門家ではない”ということではなかろう。ケリー首席補佐官は、知っていたのか?など疑問も多い。最終的には、合議にかけられ、大統領が反対を押し切って決断した。
7日のNY株式市場の主要3指数はNYダウが3営業日ぶり、S&P500種は5営業日ぶりのそれぞれ反発。ナスダックは続伸とそろって上昇で終了。米税制改革案の審議が進展し、年内成立の可能性が高まっていることが引き続き押し上げ要因となり、外交面のノイズを消し去る展開。市場は、内政重視の支持者向けの単なるスタンドプレーと受け取っているということか。金市場の無反応は、そういったことを思わせる。仮にそうだとしても、国際外交の舞台で、米国の失ったものは大きいと思われ、国内での(水面下での)反トランプの動きはさらに強まると思われる。議会側も中間選挙まで1年を切っていることから、表だってユダヤ系の反感を買うことも避けたかろう。
さて雇用統計まで、後2時間。