亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

綱渡り

2008年06月23日 19時24分34秒 | 金融市場の話題
今週は誰もが注目するFOMC(連邦公開市場委員会)。政策金利が据え置かれることは、ここまでの議長を始めとするFRB関係者の一連の発言から市場は織り込み済み。その先をどう示すのか、いつものように声明文の内容が最大の関心事に。インフレについて以前にも増して警戒を高めたものになろうというのがコンセンサス。

金市場に関連する要素としてはドル相場の行方だが、先週はワシントン・ポストやフィナンシャル・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルが市場に急速に広がったFRBによる利上げ観測に否定的な見通しを流したことをここでも取り上げたが、週末にはこれらの報道は、市場の“過剰反応”に慌てたFRBサイドからのリークによるものとの話があり、むべなるかなと。そういえばワシントン・ポストの記事は著名コラムニストによるバーナンキ議長側近の話として「議長が利上げする計画はない」としたものだった。それにしても多少の乱高下はあれ、一見して平穏な市場で危機慣れとでも表現できるような状況だが、米株は下値を切り下げになっている。週週末に掛けてMBIA、Ambacというモノライン両社を格付機関ムーディーズがそれぞれ5段階と3段階引き下げを発表した。同じ日にシティ・グループはモノライン格下げに伴うさらなる評価損の計上見通しを示している。

日曜日の日経も取り上げていたが、S&Pは20日金曜日に自動車大手GM、フォードを格下げ方向での見直しを発表したが、デトロイト(ミシガン州)では昨年から自動車関連のリストラで住宅ローンの延滞が急増しており、差し押さえも急増中とされる。昨年秋に報じられた時には、ミシガンのサブプライム延滞率は全米14.5%に対し20.8%だった。そういえば、先日の書き込みにあった「2件目タダ」の住宅広告が掲載のもの。販売が高額物件であることから“おまけにもう一軒つけます”となっているわけだが、住宅の底入れは未だ見えず金融機関の不良債権も拡大が続く。片方で小売など米国景気の「底堅さ」を指摘できるデータが出てくるのは、政府テコ入れ(財政政策=税還付金)とグローバル化の効用だろう。金融政策も実体経済も綱渡り状態なのだ。

先週末土曜日は名古屋でのセミナー。当ブログを読んでいただいているということで、ありがとうございました。

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