亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

中国での金担保の金融取引に対する懸念

2014年06月27日 23時59分03秒 | 金市場
昨日、アジアからロンドンの取引時間帯に金が1306ドル台まで急落した背景が中国発で伝えられた金担保の金融取引に関連したニュースだった。今年の4月にWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が発表した“China’s gold market: progress and prospects”と題したレポートで金担保の金融取引に供されている現物の累計総量が1000トンになるとの推計値が初めて示され話題となることがあった。

先行して伝えられていた銅や鉄、アルミを担保にして低利で資金調達をし、それを運用に回し利ザヤを稼ぐというもの。担保に供する際に、銀行発行の信用状(C/L)や船荷証券などを巧みに使い、中には二重担保という詐欺的取引もあったとされ、融資をしていた外銀の間で警戒感が高まっていた。そうした取引が金でもあるというより、場所も取らず錆びもしない(化学変化を起こさない)金こそが使い勝手がいいということで予想以上に使われていたのではないかとの憶測を呼んでいた。

流れたニュースが、中国の会計検査院に相当する「審計署」が輸入した金を担保にした融資が944億元(約1兆5500億円)にまで膨らんでおり、二重担保など不正な融資引き出しの手段とされている可能性を示唆したこと。金額の規模としてはWGCのレポートが示した推計値1000トンの時価総額は日本円にして4兆円超となるので、これくらいになっても不思議はない。

そもそも金でも非鉄でも商品を担保にして融資を引き出すことは違法ではない。その担保たる原資産の金を、担保価値のある有価証券であるところの、(銀行の)信用状や船荷証券あるいは倉荷証券という形で(時間差を利用し)重複した発行を受けたり、偽造したりすることで2倍、3倍の資金を調達しより多くの利ザヤを稼ごうという行為にメスが入っているわけだ。どの程度の内容になっているのか不明だが、取引解消にともない担保に供された金が市場に流出し値崩れを起こす可能性が、理財商品や信託商品の焦げ付き問題と絡んで指摘されていた。それが金額規模とともに示されたわけだが、実態はなお不明。

思うに仮に担保資産(この場合、金だが)が流動化しても、国際マーケットに流入することはなく中国国内で引き取られていくのではないかということ。このあたりは非鉄金属とは異なると思われる。そう解釈すると、このところ金が水準をさげても中国の買いが見られないという実需筋の話と整合性を持つことになる。結局、影響は中国の輸入量の減少ということか。WGCはレポートで、今年の中国の需要はせいぜい前年並みというふうにしたが、それとも整合性を持つわけだ。




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