イラク情勢は一般的に重火器にまさる政府軍が優勢かと思いがちだが、スンニ派武装勢力の方も物量には劣るものの相応の装備とされる。政府軍の中でもスンニ派の兵士は、戦わずして逃げ出したり寝返ったりという事例もあるらしく、それがここまでのISIS(スンニ派武装勢力)の快進撃の背景にあるとされる。驚いたのはロシアが戦闘機をイラク政府に供与というニュースがあり、理由はフセイン政権が倒れた後で、イラク国内、特に南部でロシアも油田の権益を確保しており利害関係者なのだという。それにしても、米国が空爆要請を蹴ったことがロシアをしてイラクに戦闘機を搬入させることになったと思われるが、やはり米軍のプレゼンスが落ちていることが背景にありそうだ。
今日は、昼間の時間帯にNHKBSのニュースを見ていたら、米ABCの番組「This week」をやっていた。シリアに侵入しているスンニ派武装勢力の中に欧州諸国の国籍の兵士がおり、彼らはイラクに足を踏み入れ戦っているが、本国や第3国への移動がビザなしできるという内容。そして欧州のみならず米国からもアルカイダ系と見られる武装勢力に加わり活動している人物が居るということだった。
それらの人々は、当然ながら米国に入るにあたりビザなどは必要ない。そして今、アルカイダ系のこうした人物を米国政府は非常に警戒しているのだそうな。というのも探知機に反応しない爆弾が開発されていたり、その他の装備もハイテク化しており、再び規模の大きなテロが起きる可能性があるとされる。ABCの記者の取材に対して応えていた複数の議員の発言もかなり切迫感が伝わってくる内容だった。緊急のテロ対策が必要とされるレベルの話とのことだった。米国への入出国のチェックがさらに厳しくなりそうだが、米国内で規模の大きなテロが発生するとなると、金融市場も荒れると見られる。目先は4日に独立記念日がある。
まぁ、一般的には中東には一定の傭兵として“外人部隊”が入っているのは今に始まったことではないが、相応の情報が入ったうえでの危機感の高まりということだろう。それにしても、年初は想定されていなかった地政学要因がますます広がるのは、まさに「国際秩序の再編」という時代背景を映したものと思う。