亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

3日続落のNY金と米長期金利続伸

2023年08月04日 21時16分09秒 | 金融市場の話題

8月3日は前日に続き米債市場で長期債の利回りの上昇(価格の下落)が金市場では売り優勢の流れとして表れた。NYコメックスの通常取引は前日比6.20ドル安の1968.80ドルで終了。

 

米長期金利の上昇については早晩一巡との見方もあることから、金の下値は1964.50ドルまでで、1日の値幅は10ドル幅に収まるなど、狭いレンジの動きといえる。

この日の10年債利回りは昨年11月以来の9か月ぶりの高水準(価格は低水準)となる4.201%まで付け4.179%で終了した。30年債利回りも一時4.308%まで上昇し、9カ月ぶりの高さになった。

早朝に発表された米経済指標が底堅さを示したことに加え、米財務省による国債増発見通しを受けた需給悪化懸念も売り要因となっている。 さらに、フィッチ・レーティングスによる米長期債格下げを受け、年金基金の中には自動的に持ち分比率を減らす動きがあることも、足元の利回り上昇に表れている。「格付けトリガー」と呼ばれるが、年金基金などは、保有資産の信用格付けが引き下げられると該当する資産の持ち分を自動的に減らす運用指針を持っていることから、売りが広がっているとみられる。

この値下がり機会を新規の投資機会ととらえる投資家も多いとされる。著名投資家ウォーレン・バフェット翁率いるバークシャー・ハサウェイはこの2週にわたり毎週100億ドル(1兆4000億円)の米国債の買い付けを行っているとされるが、来週も短期債を中心に100億ドルの買いを入れる予定とされる。

 

利回り水準のポイントとしては、10年債でみて終値ベースで昨年10月24日の4.248%が直近のピークとなっており、それを超えるか否かが注目される。超えられずに終息という流れを読む向きが多いが、果たしてどうなるか。

 

この日発表された7月29日までの1週間の新規失業保険申請件数は、前週から6000件増の22万7000件と、市場予想と一致した。一方、労働市場の逼迫が続く中、7月の雇用削減数は11カ月ぶりの低水準となった。前日発表の7月のADP全米雇用報告に続き、労働市場の底堅さを意識させる内容だった。同じ日のISM(供給管理協会)非製造業(サービス業)景況指数は52.7と市場予想(52.3)を下回ったものの、好不況の境目とされる50は上回った。また労働省が発表した4~6月期の非農業部門の労働生産性(速報値)は年率換算で前期比3.7%上昇した。同時に、労働コストの伸びは鈍化しており、インフレ見通しの改善につながるとみられる。

 

なおイングランド銀行(英中央銀行)はこの、政策金利を5.00%から0.25%ポイント引き上げ、15年ぶりの高水準となる5.25%とした。0.5%の引き上げ幅も予想されていたが、無難に通過ということに。

さて今週のメインイベント、7月米雇用統計がどうなるか。雇用者増加数は低下しているのではとみているのだが、どうなるか。

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