3日のNY市場は、米国株安の中でNY金は静かに上値追いとなった。NYコメックス通常取引の終値は1294.80ドル。昨年6月14日に1300ドル割れを見て以来の戻り高値となる。さらに、NY時間外の本日日本時間の午前には、一時1300.40ドルまで買われた。これも昨年6月14日以来6カ月半ぶりの1300ドル台となる。ただし、急激なドル安円高に相殺され、本日から始まった円建て価格は下げとなった。
3日のNY金は、NY時間の朝方に発表されたADP全米雇用報告で民間就業者数の増加が大きく上振れたことから、一時売られたものの、復帰も早かった。その後、現地午前10時に発表されたISM製造業景況指数が、予想を大きく下回る弱気の結果となったことから、株安に拍車がかかる中で動意づくも目立った動きにつながらず、結局、じわじわと下値を切り上げながら進行することに。
3日のドル円相場を見る分には、ドルはかなり売られたイメージだが、現実には円だけが狙い撃ちされたような形で、ユーロドルはいつもの動きで大きな変化はなし。それでも、リスクオフに傾いた市場では米国債が買われ利回りは急低下、ついに10年債は2.554%と2.6%割れということに。クリスマス前は2.8%台だった。30年債も2.904%まで落ちてきた。債券ロングの投資家は短期で大儲けということに。金利低下は金価格の押し上げ要因だが、如何せんドル指数(DXY)が落ちてこないので、引き続き地味な展開となっている。
それにしても昨夜のADP民間雇用は前月比27万1000人増と前回の15万7000人を上回り、市場予想の17万8000人をも大きく上回るサプライズとなった。しかし、市場は逆に数字の正確性を疑うような反応となった。弱かったのはISM。54.1と前月の59.3から5ポイント以上低下。1ヵ月の落ち幅としては、リーマン直後の2008年10月以来とされるもの。個別でも新規受注が前月の62.1から51.1に低下。雇用指数も価格指数も大きく低下。ADPのサプライズを打ち消し株安を加速させた。
本日は12月の雇用統計の発表。失業率は約49年ぶりの低水準3.7%あるいは3.6%、NFP(非農業部門の雇用者数)は17万人台の増加が予想値となっている。引き続き平均時給の伸びが注目事項。それよりも、パウエルFRB議長がバーナンキ、イエレンの元議長とともにインタビューを受ける予定で、その内容に関心が集まっている。