8月17日のNY金は9営業日続落となった。2017年3月10日までの9営業日続落以来のことで、最長記録となる。先週来金市場の売り手掛かりとされている米長期金利の上昇がこの日も続き、金市場では下値追いの流れが続いた。NYコメックスの通常取引は、前日比13.10ドル安の1915.20ドルで終了した。
NY時間の午前に売られ過ぎ感から押し目買いにプラス圏に入ったものの、長期債を中心とした米債利回りの上昇が止まらず、売り直された。 前日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で利上げ継続の可能性が示されたことに加え、この日発表の米経済指標も堅調だったことから金利上昇とともに、ドル指数は一時103.598と2カ月ぶりの高値まで上昇し、こちらも金の売り要因となった。
時間外取引は一時1914.20ドルまで付け、1915.20ドルで終了した。
NY金先物市場では、ファンドの買い建て(ロング)が直近ピーク時の5月9日時点の(重量換算)701トンから8月8日時点の450トンまで251トンの減少となっている。この間のNY先物市場での売りの規模を表す。
一方、この間ほとんど動きのなかった金ETF(上場投信)の残高にも動きが出ている。 最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」の残高は7月末以降減少が目立っており、8月に入り17日まで25.43トン、2.9%の減少となっている。金ETF全体の残高は23年6月末時点で3422.4トンとなっているが、22年10月以降3400トン台でほぼ横ばい状態が続いて来た。この間にNY金は1600ドル台から2000ドル超へと水準を切り上げ、足元で1900ドルを伺う動きだが、この間に金ETF投資家に目立った動きは見られなかった。米長期債利回りの急伸とドル高に反応したものとみられる8月以降の残高減少だが、一時的なものなのか、継続的な資金移動を意味するのか注視している。
なお17日の米10年債利回りは一時4.329%まで上昇し、4.284%で終了した。昨年10月以来の水準だが、終値ベースでは2008年6月以来の高水準となる。
また17日NY時間の夕刻に伝えられたところでは、中国不動産大手、中国恒大集団がNYのマンハッタン地区連邦破産裁判所に、連邦破産法第15条の適用を申請した。2021年12月期以降債務超過に転落しており、経営不安が続いていたことで知られる。それが現実のものになったことで、不動産関連の不良債権を巡る中国政府の処理能力に疑問符がつくことになりそうだ。金融システムに飛び火すると、連鎖の可能性があり警戒感が高まっている。
金融への連鎖は安全資産としての金の買い要因となる。18日はアジア時間の時間外でNY金は買いが先行している。
米国債利回りの上昇にしても、中国が人民元買い支えのドルの調達を米国債売りで賄っているとの指摘もある。