亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金と米長期金利

2023年08月16日 20時32分18秒 | 金市場

NY金は8月15日7営業日続落となった。NYコメックスの通常取引は前日比8.80ドル安の1935.20ドルで終了。7月10日以来約1カ月ぶりの安値水準ということに。

米国景気の底堅さを示す指標の発表を受け米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの見方から、米国債が売られ利回りが上昇。金市場では売り優勢の流れが続いた。

 

このところの続落の背景は、好調な米景気を受けたリッセッション観測の後退に支えられた米長期金利の上昇にある。

堅調な景気の下でここまで鈍化が続いて来たインフレも鈍化ペースが鈍り、(FRBの目標とする2%を上回る)一定の水準で高止まりするとの見方につながり、引き締めの手綱を緩められないだろうとの見方が生まれている。米長期金利の上昇は、金利格差から為替市場ではドル高として表れ、ドル指数(DXY)を押し上げている。必然、ファンドのプログラム売りを引き出し、金市場は軟調地合いが続いている。

 

米長期金利の上昇には、景気見通しの良さ以外に米国政府の財政赤字拡大に伴った国債の増発という需給要因もある。米国財務省は7~9月期の国債発行の増額見通しをすでに公表しており、その先の増発の見通しも示している。債券市場での需給の悪化見通しが、基調的に金利(利回り)上昇につながりやすい環境を生み出している。

この日、米10年債利回りは、一時4.268%と昨年10月24日以来の高水準を付けた。その後、安値拾いの買いが入り、利回りは4.173%まで急低下したものの終値では4.218%と、約10カ月ぶりの高水準を維持した。

利回りが昨年のピークに接近するタイミングで、NY金は急落し1927.50ドルの安値を付けている。ただし、この下げ局面は押し目買いが見られ反発し、1940ドル付近まで値を戻した。米債市場も夏休みで市場参加者が減っており、価格が振れやすくなっている。それだけに目先の動きがトレンドを形成するか否かは、今後の状況を見守る必要がある。

 

この日発表された7月の米小売売上高は前月比0.7%増加し、市場予想の0.4%増を大きく上回った。6月分も速報値の0.2%増から0.3%増に上方修正された。前月比での増加は4カ月連続となる。夏季休暇シーズンに入り、外食や旅行など「コト消費」の需要が盛り上がる一方で、家電(1.3%減)や家具(1.8%減)など耐久消費材は低調な推移が続いている。ただし、FRBの積極的な利上げにもかかわらず、賃金の力強い伸びを背景に足元で消費が堅調を維持していることは間違いなさそうだ。

 

本日16日は、7月の米連邦公開市場委員会(FRB)の議事要旨が公開される。追加利上げを巡り意見の割れも指摘されているFRBだが、FOMCメンバーの意見の収束状況を確認することになる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 価格差広がるゴールドその他... | トップ | 昨年来不動の金ETFに売りの波 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事