亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ハリケーンの影響が出そうな米経済指標、NY金反発

2024年10月11日 21時30分18秒 | 金市場

10月10日のNY金は5営業日ぶりに反発した。通常取引は前日比13.30ドル高の2639.30ドルで終了。前週末発表の9月米雇用統計の上振れの影響から米連邦準備理事会(FRB)の利下げサイクルの工程の見直しを迫られた市場では、今後は緩やかな利下げ継続がコンセンサスになりつつある。

この点からも注目されたのが、10日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)だった。想定より堅調な労働市場を受け、この夏に順調に低下してきたインフレの動向が関心事となっていた。下がりにくいインフレが意識されたことによりる。

午前早くに発表された9月CPIは予想をわずかに上回ったものの、FRB目標の2%に向けた流れに変化はないと解釈された。

一方で、同じ日に発表された週次の新規失業保険申請件数は、予想を大きく上回り、2023年8月以来およそ1年ぶりの高水準となった。こちらはそのまま利下げ継続を示す内容だった。

 

この日の金市場は、アジア時間からロンドン、さらにNYの時間帯を通して静かに上値追いとなった。

4営業日続落の後ということに加え、今週に入り連日続いているFRB高官の講演など発言内容のコンセンサスが利下げの継続であり、一部で浮上していた11月米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き(利下げ見送り)観測が後退したことによる。

また中東情勢の緊張が続いており、相対的に安全な資産としての買いも入っている。

前日まで売り手掛かりとなっていたドル高や米長期金利の上昇も、高止まりながらもこの日は一服状態でNY金が反発しやすい環境でもあった。

 

9月の米CPIは、総合指数は前月比では0.2%上昇し、伸びは前月と並んだ。食品価格の上昇を背景に予想の0.1%上昇を上回った。前年比では2.4%上昇と市場予想の2.3%を小幅上回った。しかし、2021年2月以来約3年半ぶりの小幅な伸びにとどまったことで、 FRBによる利下げ継続観測が強まった。8月は2.5%上昇だった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは、前年比3.3%上昇した。市場予想は8月と同じ3.2%上昇だった。前月比では0.3%上昇し、伸びは8月と同じだった。市場予想は0.2%上昇だった。

同じ時間に発表され結果的にCPI以上に注目されたのが、5日終了週の新規失業保険申請件数だった。

前週比3万3000件増の25万8000件と、週間の増加幅としては2021年7月以来最大となった。市場予想は23万件だった。米南東部で大きな被害を出したハリケーン「ヘリーン」の影響もあるが、無関係のミシガン州の増加が目立っており、雇用統計より現状に近い指標だけに注目されることになった。

 

経済が堅調を維持する中でインフレの減速が続いていることからソフトランディング観測が高まっているが、むしろソフトランディングのために利下げが必要とも思われる。

なお、足元でフロリダ半島を縦断したハリケーン「ミルトン」による被害拡大が伝えられている。「ヘリーン」含め、今後の経済指標にその影響が現れることが予想される。

足元の米長期金利の上昇も頭打ちということになりそうだ。

 

この見通し通りであれば、ドルの戻りにも転機が近いことになる。

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