注目度が高かった11月の米雇用統計は、最近のデータとしては文句のつけようがなかった・・・という感じの内容。20万4000人の雇用の増加に失業率は7.0%。失業率に関しては、このところの労働参加率が下がることによる低下が問題視されていたが、今回は労働参加率が改善する(上がる)中で下げたことも評価を上げた。
当方としては、政府機関の閉鎖などでデータ集計に“怪しさ”があった10月の数値・・・・あの市場予想14万人台に対し結果は20万人超でサプライズになった数値、がかなり下方修正されるであろうと思っていた。ところが、それも修正はされたが20万4000人から20万人というもの。これは改善を認めねば・・・・という感じ。
では、いよいよTaperingスタートか・・・ということだが、それでも今のFRBは既にバーナンキ路線からイエレン路線に移行中と見られることもあって、慎重姿勢を崩さないことから12月も見送りという見方もある。
それはいいとして、金市場の反応は発表直後こそ売られたものの、売り物が切れるや否やショートカバーの嵐で35ドルほど急騰となった。“噂で買って事実で売る”の逆バージョンの“噂で売って事実で買戻し”の動き。すなわちここまでさんざん売ってきて、何度も織り込み済みとされながらも売り乗せてきたファンド(・・・欧米投資銀行と同義)が 、先週も書いたように機会あらば買戻しというスタンスに変化している。材料出尽くしといえば、そうなんだろうが、これもFRBによる周到なコミュニケーションの成果と言うべきか。つまり、Taperingのスタートは、引き締めを意味せず、超緩和状態は今後数年続く・・・果てなき過剰流動時代の継続を市場に納得させたうえで政策転換の混乱を防ごうという戦略が功を奏したひとつの表われかと。10年債の反応も金と同じようなものだった。
言うまでもなく金市場に関しては、総弱気の中で先週までショートが積み増されており、その反動的な動きが出ている。