国内投資家にも変化の兆し

昨日のコメント欄の「特派員さん」の現場レポートは、まさに金地金の販売窓口の生の情報と思われるので、貴重な話をありがとうございます。国内投資家のスタンスも変わりつつあるという話は他でも聞いていたものの、急落場面での問い合わせ増加は、思っていた以上の変化が見られているということだろう。（短期的な上げ下げは別として）ここまでの国内金価格の継続的な上昇に加え、直近で高値を見たという要素はあれ、将来を見据えるとエン（円）でもドルでもないゴールド（金）も保有しておいたほうがバランスも取れようという発想が見られ始めたとすると、日本国内の状況も風景が変わるということに。そこに金ETFも加わるという構図。中心的な価格帯が上昇する中で、最近金市場で話題になっているものに“インドでの価格慣れ”というのがある。当欄でも取り上げたかもしれないが、昨年インドではルピー建て国内価格が38%も上昇したにもかかわらず、統計上「スクラップ（再生金）」と表現される換金売りが減少していた。宝飾需要も金価格が急騰した上半期は急減したものの、乱高下のなか比較的価格が安定した秋から年末に掛けては、（価格帯が前年同期より100ドル程度上がっていたにもかかわらず）増加するという結果となった。金というものは不思議なもので、それ自体がかつては価値の基準とされたこともあり、妥当価格というものがない。現時点の価格が割安なのか割高なのかを計るモノサシがない。株ならPER、PBRなどお馴染みのモノサシがあるが、金にはない。結局、市場で受け入れられる価格が妥当価格ということになる。もちろん我々は、参考となるデータを引っ張ってきては、やれ過熱だ、売られ過ぎだと判断するわけ。天底は誰にもわからないのは、株でもなんでも同じだが、金はなお更。だから、年金は組み入れ比率と時期を決めると市場を見ず機械的に買い進むし、鉱山会社も機械的にヘッジを解消するところが多い。