亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

スリランカ10トン買い

2009年11月26日 18時19分11秒 | 金市場
25日はアジアの午前の時間帯で早々に1170ドル台後半まで買い進められ高値を更新したが、これはインドの金融紙Financial Chronicleが流したインド中央銀行による(IMF売却予定の金の)追加購入見通しという観測記事に反応したもの。当然ながら当のインド準備銀行はこの件に関しノーコメント。この段階で価格は1180ドル大台突破。その後、IMFがスリランカの中央銀行に10トンの金を23日の市場価格にて売却したことを公表したことから、金の上げ足はさらに早まった。これで先週のモーリシャスにつづき3件目。次はどこの中銀か?と市場の関心は高まる。11月23日はオプションの納会日だったが、その日のロンドン午後のフィキシングは1169.50ドル。スリランカはこの価格で買い取ったということだろう。中銀の購入には、足元の価格水準を“許容” したという側面もあり、本来的に妥当価格がない金にとって一種のメルクマール(指標)という捉え方もできるもの。だから“お墨付きを得た” とは言えないが、市場センチメントに対する影響力はある。

今回は、同時進行でドル安が進んだことも金価格上昇の基盤を作っている。ユーロドルは1.51ドルを突破して年初来高値を更新。動きが鈍かったドル円相場も「(ドルの買い方の)投げ」を誘発するかたちで14年4ヵ月ぶりとなる86円50銭割れをみている。円高で上値を削られるという展開を読んできたが、それがなかなか現実のものにならなかったが、来てしまったという感じだ。

ところで、今週に入りNYコメックスの出来高が急増しているが、いくつかの媒体に書いてきたが、やはりロールオーバー(限月間の乗り換え)が起きている(今回は09年12月から10年2月物へ)。それにしても休日前は「ロングの手仕舞い」というのが定番だったが、「ショートの手仕舞い」という流れは環境の成せるワザということか。USミント(米国造幣局)が在庫急減でイーグル金貨の販売を12月初めまで中止したとのこと。



以下、IMFのプレスリリース

IMF Announces Sale of 10 Metric Tons of Gold to the Central Bank of Sri Lanka

Press Release No. 09/431

November 25, 2009
The International Monetary Fund (IMF) announced today the sale of 10 metric tons of gold to the Central Bank of Sri Lanka. The sale was conducted on the basis of market prices prevailing on November 23, 2009 with proceeds equivalent to US$375 million (SDR 234 million). This transaction is part of the total sales of 403.3 metric tons approved by the Executive Board in September 2009 (see Press Release No. 09/310), and it adds to the total of 202 metric tons already sold to the Reserve Bank of India and the Bank of Mauritius (see Press Release No. 09/381 and Press Release No. 09/413).
As previously announced (see Press Release No. 09/310), in accordance with the guiding principle of avoiding disruption of the gold market, the IMF’s Executive Board adopted modalities for the gold sales consistent with guidelines it had earlier established. In particular, the Fund is standing ready for an initial period to sell gold directly to central banks and other official holders that may be interested in such sales. Thereafter, on-market sales of any amounts remaining from the 403.3 tons would be conducted in a phased manner over time, following the approach adopted successfully by central banks participating in the Central Bank Gold Agreement.
As previously indicated, the Fund will inform markets before any on-market sales commence, and will report regularly to the public on progress with the gold sales.


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人民元 (いつも拝見しております)
2009-11-27 00:30:36
ドルにばかり注目が行ってますが、ペッグしている人民元には何らのコメントが出ない状況が不気味に感じます。
当局は引き締め気味ですが、本来は切り上げすべき問題で引き締めとはおかしな話です。
そんな状況下でベトナムがドン切り下げを行いました。いずれ他の東南アジア諸国も自国通貨売り介入を強めるのかもと思ってます。
日本円も高くなってきており、これでは中国一人勝ちの様相です。

ただ、ドル切り下げは米金融界の損失をカバーするのが目的です。中国が過剰なまでにそれに追随する意図が計りかねます。
中国に何か起こっているのかいないのか気になります。

日本政府も大変ですね。これでは中国から輸入品が津波のように押し寄せてきます。介入やむなしとなればこれまたGOLDの買い材料ですが、もう少し安くなってくれると買いやすいのですが・・・
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2005年 (fairlane)
2009-11-27 01:27:14
スリランカはtake it するけれどendorseはしないということですね。

金価格のこの上げ方は2005年後半に似てるな、と思ってましたが、先生の本を紐解いてみますと、あの頃中銀は500トンきっちり売ってますし、アメリカのFFレートも上げていたんですね。それであの上がり方ですから、今上げるのは当然の様にも思われます
2005年末のトコム発暴落の再現はないでしょうが、2006年5月の大暴落の再現はありそうですね。
たしか一晩で50ドル落ちたことがありましたか。
今は当時以上にクオンツ理論が盛り込まれているでしょうから、落ちるとすごそうです。
でも目下のところはイケイケですからついて行くしかなさそうですね。
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またしても (ささやか)
2009-11-27 08:36:29
またまた感謝祭で市場参加者が少ない時季に…
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=ajf05qQghC1A

共産中国人民元の壁が厚いから周辺国に火の粉が飛んでくる気がします。
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早速降りかかってます (いつも拝見しております)
2009-11-28 00:22:25
ささやか様

日銀に火の粉が降り注いでます。
それも中国だけでなく国内から出てるところがミソですね。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK033562520091127?feedType=RSS&feedName=marketsNews&rpc=155

それにしても、GDP世界1位と2位がタッグを組んだら他国は負けちゃうんじゃないかと思います。
GOLD買うぐらいしか資産を守ることが出来ませんね。
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