亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

加速する米銀の破綻

2009年08月20日 23時03分58秒 | 金融市場の話題
下げ止まり、停滞、回復、再び後退。まだら模様の景気指数と合わせて投資家心理(市場センチメント)も揺れる。先週末米国では昨年9月に破綻しJPモルガンに吸収されることとなった大手銀ワシントンミューチュアル以来の規模となる金融破綻が起きた。アラバマを本拠地にするものの5州にまたがり346支店を有するコロニアル・バンクがそれ。米国史上6番目の規模となる金融破綻・・・とされるが、資産規模から見るとワシントンミューチュアルの約12分の1の規模となる。コロニアルは年始から経営が不安視されており当局も対応に当たっていたが一度は資本調達に成功したものの結局最後は引き受け先もなく破綻に至る。フロリダやその他住宅価格の目立っていた地域での積極展開が仇になった。

先週はあわせて5行が破綻し、米国では年始からこれまで77行が破綻している。昨年は1年間で25行だった。すでに昨年を大きく上回っているのだが7月以降だけで32行が破綻しており加速する様相をみせている。破綻処理にあたる連邦預金保険公社(FDIC)だがコロニアルの破綻処理には28億ドル必要とされる。ちなみに3月時点でFDICの金庫には130億ドルの資金が用意されていた。先週の他の4行の破綻処理には約9億ドル必要とされてる。おそらくこのペースで行くとそこそこの規模の破綻が起きるとFDIC自体が資本調達する必要が出るだろう。

というのも(ここでも何度か書いてきたように)不況型の不良資産の増加はこれからと見られるからだ。具体的にはサブプライム問題に一巡感がでるなかで信用力の高いプライムローンの焦げ付きが増えている。S&Pの調査では4-6月期のプライムの延滞額は約14%の増加、一方サブプライムは約4%の減少となったと伝えられていた。プライムの不良債権化の裏には雇用問題の悪化がある。

今後の不良債権問題を語るとこのプライムローンよりも、まずは前面に出そうなのが商業用不動産ローンの問題。このローンを組み込んだ証券の償還が本格化するのは来年以降とされており、商業用不動産に関連する米銀の損失は2000億ドルを超えるとの指摘があり、金額の当たり外れは別としてこれからもひと波乱ありそうだ。10月に明らかになる7-9月決算でその輪郭が見え始めることになるのではないか。・・・この時期に書くのは早すぎるかな?


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブルさん、どうもです! | トップ | 週末は処暑 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
もうわからん (fairlane)
2009-08-21 17:50:55
FDICの予算も尽きたようですが、議会の承認も通さずにどこかから都合してくる。
モノラインも確か少し前に格下げされてますが、これも保証された金融商品に影響なし
CMBSももう崩れると言われて久しいですが、これも何とか持っている

超法規的な支援と、強力な行政指導で持ってますね
どこまで続くのでしょうね。

 
返信する
同感です (いつも拝見しております)
2009-08-21 21:22:06
胴元はFRBと米財務省でしょうけど、モノライン以外でもCDOはどうなってるんでしょうね。
格付け会社は格下げしたと思ったら、ちゃっかり格上げしてるし・・・
中小金融機関は見殺しでも巨大金融は大盤振る舞いです。
AIGなんて笑っちゃう株価ですね。
市場ってなんのことでしょうね?

ただ、金融緩和すれば景気回復と皆言っているところが気にかかります。
こんな状況で本当に景気回復できれば人類は不況を克服したことになるんじゃないかとも思ってます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事