昨日取り上げた10月の中国の鉱工業生産、固定資産投資(1-10月)に小売売上高だが、特に前の2つの指標は直近で発表された貿易収支で輸出入が大きく減少していたことを考えると、予想外に高いとの印象は否めない。早い話が、違和感のある数値といえる。
11日も貴金属ではプラチナ、パラジウムの下げが目立った。基調としてこの中国に代表される需要の“ここまでの落ち込み”及び“更なる落ち込み懸念”が、コモディティ(商品)市況に影を落としている。代表的な商品指数であるトムソン・ロイター・コア・コモディティCRB指数は11日には188ポイント台と8月26日の水準まで低下している。そもそも2002年12月以来の低水準であり、需要の冷え込み、あるいは需給バランスの崩れを表すものといえる。基本的にこの需要の落ち込みとドル高があり、そこに商品別の固有の背景が乗る形で個別商品の下げが続いている。
11日のプラチナは続落で880ドル台の7年ぶりの安値水準で取引を終了した。プラチナETFの解約売りが連日出ており、この現物由来の売りが需給を更に悪化させセンチメントを冷やすという悪循環に陥っている。同じ動きはパラジウムにも起きている。11日は中国の10月の新車(乗用車)販売台数が発表され前年同月比13%増の194万台で今年最大の伸びとなっていた。商用車を合わせると前年比12%増の222万台とされる。しかし、このニュースにもプラチナ、パラジウムは反応していない。結局「投資の売り」の中で需給バランスの均衡点を探しながらの展開。言われるところの「もうはまだなり」の展開。11日はWTI原油も米石油協会発表のデータが予想外の在庫増となったことから売られ、こちらも8月27日以来2か月半ぶりの安値水準の42ドル台で終了した。
そういえば今朝の報道で、「金が5年半ぶりの安値」のタイトルで、中国の減速から金需要後退観測が高まり売られた・・・云々としていたが、それは逆でこの下げの中、実需買いが高まり上海価格(上海黄金交易所)は4~5ドルのプレミアムがついている。つまりロンドンより4~5ドル高い価格で買われている。
本日はイエレンFRB議長を始めFRB高官の講演や発言機会が多く予定されている。