週末に米政府機関の閉鎖問題に何の進展も見られなかったこともあり、さすがに市場全体がやや浮き足立つような展開に移ってきたようだ。比較的落ち着いていたNY株式市場も7日の取引ではNYダウは再び1万5000ドル割れとなり、S&P500種平均は1ヵ月ぶりの安値となった。先週は政府機関閉鎖という異常事態の中でも値持ちのいい株価の反対側で金の上昇も見られず、むしろ投機的な売りに弱含みに推移する局面も見られていた。閉鎖自体が長引かず、長引いたとしても週末を超えることはなかろうという前提で動いていたと見られる。その前提が崩れたことで金市場では週明けの取引でやや買いが優勢となった。
当初は新年度予算案審議にリンクしていた「医療保険改革法(オバマケア)」問題が、いまや「連邦債務上限引き上げ」問題ともリンクする展開となり、双方とも譲れなくなった。というのも昨年の大統領選での民主、共和の対立軸のひとつが「大きな政府」に関連する「医療保険改革法」であったからだ。当時、共和党ロムニー候補は、自分が大統領になれば医療保険改革法は即座に廃案にするとしていたほどだった。民主というよりもオバマ大統領にとって、すでに大統領選で決着したものを蒸し返す共和党のスタンスには妥協の必要はないという方針だろう。これは、わかる。
一方で、共和党の穏健派はともかくティーパーティーなど保守派は、政策理念上どうしても受け入れがたく強硬方針を貫こうとする。共和党議会指導部も来年の中間選挙を考えると、保守派の離反は党勢の低下につながるためにそれも難しい。先の大統領選挙中のロムニー発言も保守派の集票を意識したものとも思われた。この中で、どう歩み寄るか。かかる状況の中で、先週紹介したレポートでも書いたが土壇場で妥協がなったとしても、何らかの歳出カットは免れないものと見られ、景気にはマイナス要因となろう。今月と12月のFOMCの判断に影響することになる。
いずれにしても米国財務省のやり繰りの期日が迫るほどに、金融市場の緊張は高まるのではないかと思われる。
ところで、本日午後は、田中貴金属工業主催の、セミナーがあり「ポール・ウォーカーに聞く!世界の動き、そして貴金属の今後の行方」という催しがあった。貴金属需給調査会社GFMSの元CEO.で今は南アで自ら立ち上げたISONDO(イゾンド)というプラチナを中心にした生産者とユーザーをつなぐ業務を展開しているとのこと。社名は、現地ズールー語で「車輪」を意味するとのこと。話の内容で参加者が驚いたのは、おそらく明日の日経などで報じられるとおもうが、貴金属全般に弱気で、特に金と銀はかなりの弱気だった。これからの実質金利の上昇を読み、新しい金利上昇サイクルが始まると認識されると金価格は1000ドルを割れ、状況によっては一気に800~900ドルまで下げるという予想だった。銀もこれに準ずると。金については、Game Overで今後10~15年低迷が続くのではないかとしていた。9月の量的緩和縮小を読んでいたが、これは外れたとしていた。
来日は1年半ぶりだが、GFMS(現在はトムソン・ロイターGFMS)の頃とは、話のトーンが激変していて驚いた。どちらかと言うと、ゴールドマン・サックスに近い捉え方と思う。センセーショナルなので、本日はこれを見出しにいたしましょう。
それが可能だから怖い。
長期チャートで見れば、オイル150ドル・金1900ドル超でピークアウトしたのかなあ、と思っているこの頃です。
今度底値と感じる時はいつ頃?その時世界はどう変わっているのでしょうか?このブログを読んでいて1050ドルという数字が焼きついているのですが…実際にはその時になってみないとわからないことですね。