亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

最高意思決定者の決意

2012年09月08日 23時39分35秒 | 金融市場の話題
今週は注目イベントが続いたが、印象深かったのがECB理事会を率いたドラギ総裁だった。

事前にEU関係者などにも会い、精力的に動いた末に中銀(ECB)サイドの方針を明確にし、「準備は整っている、後はそちら(各国政府)次第」という体制を作り出した。「ユーロを守るためには何でもする。私を信じなさい」・・・という内容の発言をしたのは7月下旬にスペイン国債が売り込まれた時だった。ここまで踏み込んだ発言は初めてだったこともあり、市場ではやや驚きをもって迎えられると同時に、そのリーダーシップに疑いを持つ向きもあったと思われる。ドイツが国債買い取りに真っ向から反対するのは自明だったからだ。

今回ドラギ株が上がったのは間違いなかろう。今週、たまたま目にした一文に「最高意思決定者の決意の重要性」をテーマにしたものがあり、まさに今回のECB理事会を導いたドラギ総裁に重なるものを感じたのだった。この決意の重要性を唱えた人物こそ、他でもないバーナンキ議長その人である点も興味深い。もちろんバーナンキ議長自身は今回のECBの決定に関し何の論評もしていない。大恐慌下の米国について、いわく「大統領が実行した個別の政策は、(中略)、それほど重要なものではない。必要とされるのはルーズベルト大統領が示した決意である」と10年ちょっと前の論文に書いたという話。

つまり危機下にあって安心感の醸成も大きな要素ということだが、とりわけユーロ圏情勢は不安や懸念が独り歩きすることで、ますます難しい状況に陥る可能性が高いわけで、実際に陥ってきたわけだ。トップの決意の程度は展開を大きく左右する大きな要素であるのは、否めない。思えば、FRB内におけるバーナンキ議長自身も来週はリーダーシップを発揮することになるわけだ。すでに決意のほどは、ジャクソンホールで示してはいるが。

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