日本時間の本日11日の午前8時過ぎに米議会の予算協議の合意が伝えられたが、このところ共和党サイドが折れているようだとの報道も目にしていたものの、意外感はあった。12月13日までに方向性を出すことになっていた超党派の協議会の共和党サイドの取りまとめ役がポール・ライアン下院予算委員長だが、この人物は昨年の大統領選での共和党の副大統領候補だった。たしか、もともと大統領候補のミット・ロムニーが穏健派とされ保守派の票をまとめ切れない可能性があったことから保守派のライアンを副大統領候補につけてバランスを取ったと記憶している。そのライアンは、政府閉鎖の解除を決めたベイナー下院議長による民主党との妥協案(先送り案)の採決に際しても、反対票を投じた人物でもあった。したがって、簡単に民主党サイドと折り合いはつけないのではと思っていた。
相手側のマリー上院予算委員長は、民主党でもリベラル派の議員とされているので、なお更という感じ。
本日午前に報じられているところでは、「強制歳出削減を2年間で約600億ドル緩和し、財政赤字を230億ドル削減することで合意(ブルームバーグ)」となっていた。この合意が基盤となって2015年9月30日までの予算の成立が可能になったと。
民主、共和両党が主張する予算編成については隔たりが大きく、それらを前面に出しての交渉では期限内の包括合意(グランドバーゲン)は無理なので、まずは出来るところからという妥協が成立したもののようだ。
これから上院下院の本会議での審議が控えるが、そもそも期限内合意は難しいと見られていたので明るい話といえる。景気回復の最大阻害要因は議会という声が高まっていたことも双方の背中を押したようだ。合意案が議会を通れば、年明け1月15日に切れる2014年暫定予算案の問題はなくなり政府閉鎖などの混乱は回避されることになる。
株式市場などは、この話を好感して上がりそうなものだが、足元でダウなど下げている。金については、どちらかというと売り材料だが、NY時間外のロンドンの取引時間帯では売られたもののNYに入り急速に買い戻された。背景には連邦債務上限引き上げ問題については全くの手つかずということがありそうだ。おそらく、共和党は取りあえず政府閉鎖も辞さずというスタンスを引込めて戦術を転換したということだろう。つまりこの問題では、かなり強硬姿勢を維持するのではないか。
ヘリコプターのパイロットはどういう心境で見ているのやら