亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

タマネギと「民主主義の赤字」??

2005年06月02日 18時33分57秒 | 金融市場の話題
(18:29)オランダでも否決。そしてユーロはついに1.21台へ。たしかにフランス、オランダといえば昔教科書に出ていた欧州経済共同体(ECC)の発足当時からのメンバー。金融経済上は、やや見劣りするとはいえオランダも大差で否決したとなると市場センチメントつまりは気持ちの上ではユーロでもあるまい、となるのは理解できる。しかし、否決されるとほぼ確定しているものが、結果がそのとおりになって、さらに売り乗せられるという市場の動きというのも、それこそ売られ過ぎではないか、と。

昨夜からの状況を見ていて思い出したのが、EUとはEuropean Unionの略で日本語訳は欧州連合だが、米系の学者や批評家のなかにはEuropean Onionと語呂をあわせて皮肉る向きもいるという話。最初聞いたのは日経CNBCのある番組の収録現場のことで、思わず笑ってしまった経験がある。今回の投票結果とその後のユーロの売られ方を見ていて、思わずそれを思い出してしまった。いうまでもなくOnionとはタマネギのことだが、つまり剥けば剥くほどに(統合が進めば進むほど)目に滲(し)みて涙が出るばかり(難題が次から次と飛び出すばかり)というわけだ。確かに大変だ。しかし、EUの歴史は、その難題をひとつひとつ乗り越えてきた歴史でもあるぞ。

そして同時に思い出したのが、ちと難しい「民主主義の赤字」という言葉。EUの統合は、今回の憲法条約がそうであったように常に政治サイドのリーダーシップによって進められてきた。だからこそ、ユーロも形になったわけ。ところが“お上”の誘導が進むうちに、一般国民というより一般域民(?)と自分の国と同時に全欧州の将来図を考えながら話し合いを進める指導者(各政権トップ)との間の考え方や認識がどんどん離れてしまうということが起きる。こういう状況を「民主主義の赤字」と呼び、いまのEUはまさにそれというわけだ。早い話が、一般人の優先順位が高いのは、全欧州のコトよりも明日のパンをどうするかというコトというわけ。だから、こういう結果になるというお話。以前から指摘されていたEUの問題点で、これもやはり米系の学者が指摘してきたこと。実際に足元のような状況となると、机の上の話が現実化しているわけで、やはりユーロを売らねばという気になるわけ。そこを突く、売り攻撃があったということ。弱みをどんどん突くのが、こういう場合の常套作戦でもあるわけです。下がり続ける相場はないわけで、どこまで戻ることができるのか見もの。これ金じゃなくてユーロの話。
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