昨日、今回のFOMCはかなりの議論が交わされるとしたが、というのも内部での意見の割れがあるからだ。10月に表面化したのが、これまでの地区連銀総裁という地域を代表して判断を下すメンバーではなく、執行部たるFRBの理事からこのタイミングでの利上げに対する異論だった。タルーロ、ブレイナード両理事が当事者だが、特にタルーロ理事は本来金融政策よりも規制が専門分野の理事でもある。本来一枚岩のはずのFRB内で意見の割れがあるというのも、異例とされる。もっとも、意見の割れがあったとしても議長の事前の調整により当日は賛成票を投じ、波風は立たないというのもFOMCのFOMCたるところでもある。
実際にイエレン議長も、1995年2月1日のFOMCではFRB理事として、 「きょう(利上げに)動いたら後悔するかもしれない。(中略)でも利上げに反対はしません」ということで利上げに賛成票を投じたとされる。1995年上半期というと円高で注目されたタイミングでもある。メキシコ危機が発生しいまだ危機が続いている中でのFRBは追加利上げだった。しかし、見通しは外れる。結局FRBは利上げから半年と持たず再び利下げ路線に戻ることになった。FRBといえど誤りはあるわけで、今回ゼロ金利幅をマイナス0.1%からマイナス0.3%拡大したECBだが、初めてのマイナス金利の採用時には「マイナス0.1%」という金利は下限金利となるだろうとしていた。実際にはさらに踏み込んだマイナス金利が必要となったわけで、見通しの誤りということになる。
もっとも、それを言うと2013年4月の異次元緩和導入に際し、「2%の物価上昇を2年程度で実現するのに必要な措置はすべて入っている」という日銀も同様なのだが・・・。
それにしても、2%のインフレ目標は、今どき高すぎないですか?と思う。