亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

政策変更を焦るドラギECB総裁

2014年09月04日 23時56分06秒 | 金融市場の話題

ECBの金利に関し事実上の下限に達した(6月時点でのドラギ発言)・・・・・それが、達していなかった。今回は政策変更は見送り、着手は来月以降と見られていたECBが“利下げ”を発表した。政策金利を0.1%引き下げ0.05%とした。もちろん過去最低となる。6月に導入し世界的に物議を醸した中銀預金のマイナス金利化だったが、わずか3ヵ月で0.2%にさらにマイナス幅が拡大することになった。貸し出し金利も引き下げられる。当座は事態の推移をしっかり分析し、その後、対応策に乗り出すと見られていただけにサプライズとなった。

その後、日本時間の21時30分から始まったドラギ総裁の記者会見では、本格的な量的緩和策の導入は現時点では見られなかったものの、カネ巡りを良くする補助策として「資産買い取り」を行うことを記者会見の質疑の中で表明した。具体的には一部市場で予想されていた資担保証券(ABS)などになるようだ。ABS購入に関しては、これまでその方向性をドラギ総裁も示唆していた。

それにしても、ここまでの慎重姿勢を変え、金利政策をギリギリのところにまで引き下げに向かったのは、それだけデフレ環境に対する恐れがこの夏に一気に高まったということだろう。実際にジャクソンホールでもインフレ期待の劇的な低下について懸念を表明していた。金利を使ったコントロールはこれで出し尽くしたことで、国債など本格的な量的緩和策の導入が市場は想定していたが、利下げを含め踏み込んだ緩和策にはドイツのバイトマン総裁など複数が反対したとされる。ウクライナ情勢も今回の政策決定の要素となったとされる。

それにしてもレイバーデー明けに加速したユーロ売りが、今夜の決定でさらに進み1.30割れとなっている。このところユーロ圏ではユーロ安を求める声も高まっていたので、結果的にその要望を満たすことにはなっている。ECB内部からもインフレ率の低下を防ぐために(輸入物価の押し上げにつながる)ユーロ安を求める発言がみられていた。金にとっては急激なドル高は売り要因に他ならず、早い時間帯には買い優勢となっていたが、急速に上げ幅を縮小する状況になっている。

(ドラギ記者会見の中でABS買取が加わったことから内容を追加。可能性はなくはなかったが、やはり今回の表明はサプライズ。対応策を取っても国債の購入に回されたりし融資にまわっていないことに危機感を高めたと思われる。)

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